「看護師は他の職業と比べてお給料の高い仕事」と世間一般的にはよく言われるもの。
しかし、「高給取りといわれているから面倒なことは考えなくても……」と、他の職場のお給料と比べずに済ませてしまっていませんか?
「自分の職場では、こんなにお給料がもらえていなかったの?」とがっかりしてしまう前に、看護師の平均的な手取り額などを知り、ご自身のお給料アップのためには何をすればよいのかを考えてみましょう。
この記事では、看護師の平均手取り給料や、手取りをアップさせる方法についてご紹介します。
看護師の平均手取り給料は
政府による統計「平成30年度賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均給与額は「298,300円」。
ここから社会保険料や税金などが差し引かれた後の手取り額の目安は、額面での給与の約8割と考えれば「約240,000円」と考えられます。
同世代で、新卒から同じ職場で働き続けている会社員や公務員のお給料を想像しながら比較すると、意外に高くもないのでは……? と思ってしまう方もいるかもしれませんね。
上記のお給料は、1人暮らしでワンルームのお部屋を借りて生活し、かつ貯金もできるくらいでしょう。
しかし、家族で一軒家やマンションで暮らすことを考えると、やや心もとない印象もあります。
看護師のご家庭は夫婦共働きの家が多いといわれますが、この「意外に足りないと感じてしまう手取りのお給料」が、その要因となっているのかもしれません。
看護師のお給料、地域や職種でどう変わる?
看護師さんのお給料は、働く地域によっても変化します。
一般的には大都市圏では高く、地方部では低めになる傾向がありますが、こと看護師の場合は「首都圏」のお給料が高くなる傾向が特に強いです。
参考までに、国内主要地域における看護師の給与(額面)を見ていきましょう。
・北海道:約31万円
・東京・神奈川:約35万円
・九州:約28万円
・沖縄:約29万円
首都圏の看護師さんのお給料が高いのは、大規模な病院や基幹病院が集中している地域であることに加え、実際に暮らすための生活コストが高くつくことが要因と考えられます。
また、首都圏から離れれば離れるほどお給料が下がるのかと思いきや、北海道や沖縄の看護師さんは意外にお給料が高いと感じるかもしれません。
これは、首都圏や本州の大都市圏から遠いことを踏まえ、高度な医療を行える現場が地域レベルで整備されているためと考えられます。
また、人口密度の低い地域は医療に携わる人員がつねに足りていないという現状も、お給料の高さに反映されているといえるでしょう。
看護師の世代別の給料やボーナス、生涯年収はいくら?
看護師のお給料は、勤続年数や年代によっても水準が変化します。ここでは、看護師のお給料やボーナスを世代別に取りあげ、生涯年収についてもご紹介します。
【若手(20歳~24歳)看護師のお給料はどのくらい?】
1年目から若手と呼ばれる世代の看護師さんの平均年収の目安は「約310万円」。
1年目の看護師さんはボーナスを満額でもらっていないケースが多いため、平均月収とボーナス額については割愛します。
1年目の看護師さんにはボーナスがおそらく年に1回しか支給されないことも多いため、この世代の年収は平均にすると若干少なめ。
でも、2年目からはしっかりボーナスももらえているはずなのでご安心ください。
【中堅(25歳~29歳)看護師のお給料はどのくらい?】
中堅世代の看護師さんの平均年収の目安は「約360万円」。
月収は「約23万円」、ボーナスは年2回を合わせた金額で「約90万円」です。
若手世代と比較すると、だいぶ増えていますね。
【働き盛り(30歳~34歳)看護師のお給料はどのくらい?】
30歳を迎え、バリバリ働ける年代になった看護師さんの平均年収の目安は「約420万円」。
月収は「約26万円」、ボーナスは年2回を合わせて「約105万円」です。
月収25万円超え、ボーナス100万円超えを達成し、女性の活躍する職場の中では特に安定した給与水準であることがわかります。
この世代の年収が押し上がるのは、リーダーや教育係など要職に就く看護師さんも増えるためでしょう。
【ベテラン(35歳~39歳)看護師のお給料はどのくらい?】
勤続年数も10年をゆうに超え、ベテランと呼ばれる看護師さんも増える世代になると、平均年収の目安は「約470万円」に。
月収は「約29万円」、ボーナスは「約117万円」にもなります。
40代~50代になっても看護師さんのお給料は少しずつ上がり、もっとも平均年収が高くなるのが「50歳~54歳」の看護師さんで「約600万円」。
この年代までは管理職に就く看護師さんも多く、正職員としての勤続年数が長くなるためと考えられます。
60代以降になると、非常勤やパート勤務になる看護師さんが増えるため年収は若干減りますが、それでも69歳まで平均年収が400万円を下回ることはありません。
【看護師さんの生涯年収っていくらくらい?】
・看護師の生涯年収:約2億3千万円
一生働いてこれだけお給料がもらえると考えると、やる気が出てくる看護師さんも多いはず。
女性の多いお仕事で、生涯2億円稼げる職業はそれほど多くはないでしょう。
【男性看護師と女性看護師で、お給料は変わる?】
・男性看護師の平均年収:約490万円
・女性看護師の平均年収:約480万円
平均値では10万円ほど違いが出ましたが、大きく差はありません。
男女の収入の差を意識せずに、長く働けるお仕事といえそうです。
ちなみに、男性看護師の年収が若干ながら高くなるのは、扶養家族が多くなるとその分手当が増えることに起因していると予測できますね。
看護師の給料を、女性が活躍する他の職種と比較!
【全職種の平均年収と、看護師の年収に差はある?】
・全職種の平均年収:約491万円
・看護師の平均年収:約479万円
ほぼ全職種での平均値と変わらない平均年収といえそうです。
「看護師はお給料が高いといわれるけれど、そうでもないの?」と思うかもしれません。
しかし、全職種での平均値には年間に何千万円、何億円と稼ぐ人の収入も含まれています。
それだけに、極端に大きく収入差の生まれない職業としてやはり看護師さんは安定した収入が望める職業といえるでしょう。
【女性の高収入な職業と比較すると?】
女性が高収入を望める職業と、看護師さんの平均年収を比較してみます。
・女性の大学教授:平均年収約1,000万円
・女性の高校教諭:平均年収約840万円
・女性の医師:平均年収780万円
・女性の看護師:平均年収478万円
上記で比較した他の職業は、数ある職業のなかでも女性に限らずかなり高収入といわれる仕事です。
このように比較すると看護師の年収は低く映りますが、看護師は上記の他の仕事と較べると働く女性の人数が桁違いに多いもの。
昇進やキャリアアップのチャンスも他の職業と較べて多く、平均以上の収入を得ようと考えれば数多くの選択肢があります。
正看護師と准看護士では、お給料はどれだけ変わる?
看護師の資格には「正看護師」と「准看護師」があり、仕事の内容にも若干違いがあります。
また正看護師と准看護師では、収入面でも異なる点があります。
・正看護師の平均年収:約480万円
・准看護師の平均年収:約402万円
准看護師は、正看護師と比較するとできる業務の内容にも制約があるなどで、基本給自体が異なるケースが主体です。
また管理職に就くケースも少なくなるため、全体的な給与水準が低めになってしまいます。
准看護師の資格があれば看護系の短大や専修学校を2年で卒業できるため、お給料アップのために正看護師へのステップアップを図る方も少なくありません。
次の項目では、看護師として働く方がお給料アップのために取り組める、現実的な選択肢をいくつかご紹介します。
看護師の手取りをアップさせる方法!
看護師はお給料の高い職場といわれながらも、実際には同世代の会社員や公務員と給与水準にはそれほど大きな差がないことがわかりました。
「もっとお給料をたくさんもらいたい」と考えているなら、ご自身で給与アップのためにできることを考えてみましょう。
ここでは、看護師さんがご自身の手取りアップのためにしたいことについて、ご紹介します。
1.副業をする
単発のアルバイトや派遣看護師さんとして休日や連休を利用して働いたり、看護業とは別の在宅ワークに取り組んだりして、お給料の支給元を増やす方法です。
本業に支障がないようスケジュールを立てなければなりませんし、ただでさえ多忙な看護師さんがそのうえ副業というのは現実的でない場合もあるでしょう。
また、そもそも現職場で副業が禁止されているケースも多いと思われるため、副業で収入を増やせる看護師さんの数は限られています。
2.投資をする
貯金があれば、株式や外貨などの形に変えて持つことで、手持ちのお金を増やせる場合があります。
この方法の難点は、投資をしたからといって必ずお金が増えて返ってくるとは限らない点です。
成功すればお金が増えますが、かえって損失を出してしまう可能性もあるので、自己責任で行わなければならないのはリスクになり得ます。
3.キャリアアップのために勉強する
資格を取得したり、多くの学位を持っていたりすればその分手当てがつく職場も多いのが看護師さんの特徴です。
またさまざまな研修や勉強会に参加できる職場も多く、就職してからも自主的に勉強を重ねて昇進や出世をめざすこともできます。
コツコツ努力することが必要で、結果を得るためには長い年月を必要としますが、もっとも確実な方法です。
ただし、「今すぐお給料をぐんと上げたい」という方には向かないかもしれません。
4.転職をする
今の職場で一生懸命働いているのにお給料が少ないとお悩みなら、思い切って転職を考えるという手段が現実的かもしれません。
賢く求人情報をチェックし、好待遇とやりがいの両方に満足できる新しい職場を見つけて環境を変えるのも1つの手です。
まとめ
今回は、看護師さんが実際にどのくらいお給料をもらっているのかご紹介するとともに、お給料に満足していない看護師さんが収入アップのために取り組めることについてもご説明しました。
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