訪問入浴とはどんなお仕事？
訪問入浴とは、寝たきりや身体障害等により、ご自宅の浴槽で入浴することが難しい方に対し、専門スタッフが移動式の浴槽を積んだ入浴車でお客様のご自宅にお伺いし、入浴の介助を行なうサービスです。入浴することによって、利用者のからだの清潔を保ち、身体機能の維持・向上を図ります。お部屋でゆったりと入浴できるため、お客様にとって満足度の高いサービスとなっています。
訪問入浴のお仕事のやりがい、魅力！
訪問入浴は、数ある介護サービスの中でも、ほとんどの利用者様・そのご家族から感謝され、かつ喜ばれる満足度の高いサービスのひとつです。それでは、なぜ喜ばれるのか？もちろんお風呂に入り身体を洗うという行為によって得られる気持ちよさや満足感もありますが、満足度が高い理由はそれだけではありません。
そもそも入浴サービスを利用するということは、ご自宅とはいえ、家族ではない赤の他人の前で裸になり、身体を洗ってもらうことになります。この行為に対し、お客様がストレスや抵抗を感じるのはごく当たり前の反応です。
そのようなストレス、緊張、抵抗感を軽減するために、スタッフはかなり細かい気配りを行ない、配慮しています。たとえばご利用者様の緊張をほぐし、リラックスしてもらえるようご利用者の方に合わせて色々なお話をしたり、ときには歌を歌ったりもします。また大きいバスタオルを使ってできるだけ露出を減らし、裸になることへの羞恥心やわらげます。陰部洗浄については、男性の場合は男性スタッフ・女性の場合は女性スタッフが行ない、不要なストレスがかからないようにします。
一方で、実際に働くスタッフ同士の雰囲気が良くないと、それがご利用者様にも伝わってしまうため、介護士さんや事業所のスタッフは、お客様のお宅に向かう移動中の車内から、良い雰囲気づくりに努めています。そのため看護師に対しても、トイレ休憩・水分補給など、いろいろ気を遣ってくれたり、まめに声をかけてくれたりします。訪問入浴がはじめての方でも、わからないことは丁寧に教えてくれるので、初回からスムーズにご勤務していただける、非常に働きやすい環境です。
こうした目に見えないスタッフの気遣い・心配りの結果として、ご利用者様との間に信頼関係が構築され、より高い満足を生み出しています。そして、その努力の対価として、ご利用者様やご家族が見せる嬉しそうな顔、何気ない感謝のことばが、この仕事の最大の魅力・やりがいです。
他の介護サービス、看護サービスに比べて体力を使う、いわゆる汗をかくお仕事ではありますが、終始笑顔で一日を過ごすことができるので、スポーツで身体を動かした後のような心地よい爽快感、達成感を感じられるお仕事です。
訪問入浴のお仕事で一緒に働くメンバー
訪問入浴は、基本は介護職員2名と看護師1名の3人1組で、1日5～8軒ほどのお宅を回ります。
サービスを提供している会社によっても異なりますが、一般的な役割は以下の通りです。
【介護職員】
オペレーター（男性スタッフが担うことが多いです）
・車の運転
・浴槽の運搬
・水回りのホースなどの設置
・移動：一番体重がかかる腰のあたりを抱えます。
・洗体：会社によって様々ですが、足元の洗体や男性の利用者さんの陰部を洗ってくれます。
【ヘルパー】（女性スタッフが担うことが多いです）
・利用者さまへのサービス提供全般を指揮します。
・移動：頭から胸のあたりを抱えます。
・洗体：洗髪を中心に利用者さんの上半身側の洗体を担いつつ、全体の指示を出します
【看護師】
・入浴前後のバイタルサイン測定（医師から血圧指示がある利用者さんもいらっしゃいます）
・更衣の介助
・軟膏や保湿クリームの塗布、湿布貼付
・移動：移動には介入しない場合や、足元を支える場合など、会社によって様々です。
・洗体：ヘルパーの指示に従って洗体をしていきます。
洗髪の介助（耳を抑えたり、長し湯が顔にかからないように、タオルで防いだりします）
ヘルパーさんと一緒に上半身の洗体をします。
利用者さんの陰部洗浄（最後のかけ湯はヘルパーさんがすることがほとんどです）
上記のように、それぞれ役割が分かれています。
訪問入浴の場合、看護師が行なう医療行為はバイタルチェックのみ。VSチェック以外の処置については、必要であればご家族が行なうことになっていますので、基本的に看護師が行なうことはありません。あとは衣服の着脱やヘルパーさんの入浴介助のお手伝いが中心となります。入浴のお仕事が初めての看護師さんには、介護職員やヘルパーの方が、お仕事の手順や段取りを細かく教えてくれるので、入浴のお仕事経験がなくても、初回から戸惑わずにご勤務していただくことができます。基本的には複雑な処置や手順はないので、一度勤務していただければ要領はつかんでいただけると思います。
