Vol.0009 Dr.くまモン「能ある鷹は爪を隠す」  [2013/11/27更新]

ふと気が付くとだいぶん日が短くなってきましたね。
当たり前ですが、ここ東京は日が沈むのが早いです。
そして、海に日は沈まない。
今回は、マツコが、海に沈む夕日がきれいだった場所に
いたころのお話です。

その頃働いていた病院は、ある分野にとても特化した病院でした。
そのため、全国から優秀な医師が多く集まってきていました。
普段普通に話してしましたが、実際はとてもとても雲の上の
超エリートコースを歩んできた医師ばかりでした。
そう書くと、なんやかとっつきにくそうなイメージになりますが、
まあ、素顔は普通のパパ達でした。

しかし、その分野では有名な病院でしたので
医師同様、患者さんも全国から来られ、病棟稼働率は、
常に90%後半を維持していました。
医師達も、365日中340日は病院に顔を出しているんじゃないかと
思うくらい、皆熱心でした。

「看護師は大変でしょう」とよく言われますが
そんな医師達を横で見ていると、看護師なんて全然!
時間で交代できるし、明けの日は寝れるし、休みもちゃんと
確保してあります。
医者はもちろん、医者の奥さんだけにはなりたくないなあ…
なんて、なりたくてもなれるはずもないのに、
勝手にそう思ったりしていました。

まあ、前置きはいいとして、
そんな中である入院患者さんから、夜勤のラウンド時にある相談を受けました。
患者さんの後輩の赤ちゃんに先天性の重度の疾患が見つかったのだけど、
本人達は泣くばかりで、どうしてあげたら良いかという内容でした。

普段なら、その患者さんの主治医に相談するのですが、
たまたま夏休みで主治医は不在。
そこにたまたま現れた、代行でも当直でもない
一日中手術をしてクタクタ姿で現れた一人の先生に
空気も読まず、私は相談をしてしまいました。
ちょっとした感じ悪い先生なら、嫌~な態度を取るところですが、
先生は、
「そうかあ。かわいそうやなあ。」と、
真剣に話を聞いてくれ、
「まだ、患者さん起きてるの?ちょっと話しに行ってくるわ。」と、
マツコが相談する前までは、
「しんどいわー。早く帰りたいわー。」
なんて言われていたのに、あっという間に
その患者さんの元に行かれました。
病室でしばらく話をして出てきたあとも
「なんかなあ。できることないかなあ。」と
ナースステーションで考えられていました。
そのあとも、遅くまで自分の患者さんのデーターを見たり
記録をしたりと仕事をされていましたが、
翌朝、夜勤明けのマツコに
一つのA4サイズの封筒を渡してくれました。

「これ、あの患者さんに渡してあげて。
その病気の小児の家族会の資料とか入ってるから。
家族会に入ったら、いろんな情報も入ってくるし、
そのお母ちゃんの支えになるはずやからな。」

もう!
本当に素敵!!

一日中クタクタに働いて、夜遅くまで残って
自分の患者さんでも、ましてやうちの病院の患者さんでもないのに
真剣に考えてくれて
すぐに動いてくれたことに
本当に感激しました。

医師の中でも、上の立場の先生なのに
そんなことはおごりかぶらず
医師として、ひとりのパパとして
患者さんの相談に向き合ってくれました。

「俺は偉いんやで~」
「お医者様なんやで~」
といつも爪を見せびらかしているような医師もいる中で、
普段は立派な爪は一切見せず、必要な時に人知れず
サッと出して助けてくれて立ち去るその姿は

くまモン。

ではなく(笑)(歩き方がそっくりなのです)

まさに

“能ある鷹は爪を隠す”

今日述べたものはほんの一例で
普段から、そのようなエピソードがたくさんある先生でした。
その後も
「どうや?」
と気にかけて下さっていました。

まあ、ついつい爪を見せびらかす先生もいると書いてしまいましたが、
今の私の上司の言葉が印象的だったのでひとつ。

「色んな先生や看護師さんがいるけど、みんなこの道を志す
きっかけや思いがあって、きっとその中には優しさがあると思う。
だから、先生も看護師さんもみんな基本的なところで、
優しい人の集まりなんだと思う。」

私のいる部署は、新しい看護師の働き方や医療サービスを作り出す部署で
普段から、先生や看護師さん達からお話やご意見を伺うことが多く
その分、いろんなタイプの方に出会います。
そんな中でのお話でした。

確かに。

そう思えば、病院で働いていた時に
「なんじゃい!」
というような医師とのやりとりも、
その先生なりの患者さんや医療に対する思いがあって
たまたまそれが私の思いと重ならなかっただけなのかもしれません。

世の中、色んな先生、看護師がいます。
中には自分と合わない人も、それに悩まされる場面も
たくさんあります。
だけど、同じ医学を志したもの同志。
どんな人にも「優しさ」があると信じて
一人の患者さんの為に、良い医療を提供できるように
協力していきたいですね。

マツコ