体位の種類と体位変換に役立つ褥瘡好発部位

看護師にとって、「体位」は患者さんの安全や安楽を守るうえで欠かせない重要なケアの一つです。
本記事では、看護師として知っておきたい体位の種類や特徴、目的を詳しく解説します。
看護ケアの質を高めるために、ぜひ参考にしてください。

体位とは？看護ケアにおける重要性

「体位」とは、患者さんがベッド上や椅子上でとる姿勢のことです。

体位は患者さんの病状や治療内容、検査、安楽の保持などに合わせて調整します。適切な体位をとることで、褥瘡予防や呼吸状態の改善、嚥下障害の対応にもつながります。

体位は単に“寝かせ方”ではなく、以下のような目的で活用されます。

• 褥瘡予防
• 呼吸状態の改善
• 体位ドレナージ
• 消化機能の促進
• 血流促進
• 安楽の保持
• 診察や処置のための体位

看護師は、患者さんの状態や病態に応じて最適な体位を選択するスキルが求められます。

よく使われる体位と褥瘡好発部位

ここでは、看護ケアの現場で頻繁に用いられる体位について紹介します。

仰臥位（ぎょうがい）

 
あおむけに寝た体位で「背臥位（はいがい）」とも呼ばれます。
全身を安定して支えられるため、身体への負担が少なく患者さんにとって比較的楽な姿勢とされています。
基本的な体位の一つであり、診察や検査の際によく使用されます。

褥瘡好発部位
後頭部・肩甲骨部・肘関節部・仙骨部・踵骨部
 

ファウラー位（半座位）

 
仰向けの姿勢から上半身を約45度程度起こした体位です。
呼吸困難の軽減や経口摂取・経管栄養時の誤嚥予防に効果的で、咳嗽（がいそう）や痰の排出を促す場面でも用いられます。
呼吸器系のケアや食事介助など、幅広い看護場面で活用される基本的な体位の一つです。

褥瘡好発部位
後頭部・肩甲骨部・仙骨部・臀部・踵骨部
 

セミファウラー位 

仰向けの姿勢から上半身を約15〜30度程度起こした体位です。
ファウラー位に比べて角度が小さいため、より安楽な姿勢を保ちやすく会話など日常生活の支援にも活用される基本的な体位の一つです。

褥瘡好発部位
後頭部・肩甲骨部・仙骨部・臀部・踵骨部
 

側臥位（そくがい）

 
体を横向きにした体位で、圧迫部位を交互に変えることができるため褥瘡予防に効果的です。
ただし、完全側臥位は支持基底面が狭く大転子部や腸骨部に圧力が集中するため、褥瘡のリスクが高まります。そのため30度側臥位が推奨されており、より広い面で体を支えることで圧力の分散が可能になります。

 
また、肺に疾患がある場合は健側を下にすることで血流が増加し換気が改善されるとされています。
これは呼吸機能の維持や痰の排出を促す目的でも有効です。

褥瘡好発部位
耳介部・肩峰部・肘部・腸骨部・大転子部・肘関節部・外踝部
 

腹臥位（ふくがい）

うつ伏せに寝た体位です。
肺の背側部分の換気を改善し分泌物の排出を促すため、呼吸管理やドレナージが必要な患者に用いられることがあります。一方で、顔面や胸腹部への圧迫、肺の換気低下などのリスクもあるため、実施にあたっては必要性を十分にアセスメントすることが重要です。

褥瘡好発部位
頬部・耳介部・肩峰突起部・乳房・性器・膝関節部・趾部
 

端坐位（たんざい）

ベッドの端や椅子に背もたれなしで座り、足を床に下ろした姿勢のことを指します。上半身を起こすことで、横隔膜の動きを助け呼吸を楽にする効果があります。
一方で起立性低血圧やふらつきのリスクもあるため、座位を保てるか患者さんの状態を十分に確認しながら実施することが大切です。

褥瘡好発部位
臀部
 

長坐位（ちょうざい）

床やベッドに座り、両脚をまっすぐ前に伸ばした姿勢のことを指します。
腰背部や下肢への負担がかかりやすい体位のため、座位保持が難しい患者や高齢者では注意が必要です。

褥瘡好発部位
臀部・踵骨部
 

起座位（きざい）

一般的な座位よりもやや前かがみになり、テーブルやクッションに上半身を預けるような姿勢を指します。
起座位をとることで横隔膜の動きが大きくなり呼吸が楽になるため、呼吸困難の軽減に役立ちます。特に心不全の場合では、座位をとることで心臓への血流量が減り心臓の負担が軽減されるため呼吸が楽になります。

体位変換のポイント

長時間同じ体位でいると、皮膚や組織が圧迫されて褥瘡の原因になります。体位変換は看護師にとって重要なケアの一つです。

体位変換の基本

• 2時間ごとを目安に体位変換をする。
• 骨突出部位の圧迫を避ける。
• 体のねじれや筋肉の緊張を防ぐ。
• 摩擦・ずれによる皮膚損傷を防止する。
• 必ず声かけを行ない、患者さんの協力を得る。

ポジショニングの工夫

• クッションやピローを活用し、圧迫を分散させる。
• 患者さんの安楽を最優先に考える。
• 皮膚の観察を同時に行ない、異常があれば記録し報告する。

まとめ

体位の選択や管理は、看護師の観察力や判断力が求められる大切なケアの一つです。
根拠を持って体位を選択・調整し、患者さんのQOL向上につなげましょう。

スーパーナースは看護師に特化した人材紹介派遣会社です。
これまで多数の看護師さんと取引先とのマッチングの実績があり、看護師に特化している会社だからこそのマッチング率、リピート率の高さ、案件数、全国展開、といったさまざまな強みがあります。
お仕事探しや転職に関心がある方は、ぜひ一度、スーパーナースにご相談ください。