夜勤がもうすぐ明ける。
なるんがいた病棟は病気の特性から比較的若い患者さんも多く、小児科ほどではありませんが、ちょっとした学生感、青春の雰囲気がただよう患者さんもめずらしくありませんでした。
若いイケメンの、微かにいい香りのする患者さんのところに、検温にいったとき。
いつも少しだけキンチョー…
それは自分がペーペーだからというのもあるが、まあイケメンだからってのも、今思うとキンチョーの理由だったと思う。
寝起きなのにさわやかやわぁ、て思いながら血圧とか測りおわって、
「数値は問題なさそうですね。なんか気になることとかありますか?」 ていつものように聞いた。
その時、いつも波に横乗りしているかのような爽やかなシーサイドのような笑顔で(どないやねん)
「うん大丈夫かな」とかいうのになんか変な間の感じあり、
めずらしかまごついているといいますか、もごもごっとしていて。
今日は海に出ないのかな、波に乗るのってすんなりいかない日もあるのかな
晴耕雨読的な、雨の日は文庫本なんか読むのかな、あ、今日は朝から雨がしとついているからな…
なんて、どうでもいい妄想しながら、どうしたんですか?と聞く。
2人部屋だったのて、何か言いにくい症状なのか?
まじめにお部屋変えてゆっくり聞いた方いいのか?などと考えて矢先
これ…手紙書いたんだ
と手のひらに手紙(真っ白な便箋を四つ折りしたような。)を載せられまして。
え? てがみ? くれーむ?
あ、いやこの感じでそれはないやろ、ありがとうか?感謝か?退院近いもんな。
血迷って黙ったまま、すぐ開こうとすると
あ、ここでは読まないで! とのこと。
ん?なんか顔赤くないか?
な?
な???
と、 「あ、はい、ガッテン承知です。失礼しました」
とかわけわからないこと言って逃げるように退室。
はやる気持ち どきどきざわざわざわざわわ
あるはずもないざわつきで、そのあとどのように夜勤を締めたのか覚えていない(おい新人しかりしろ)
寮の部屋にかえり、シャワーも浴びずに、なぜか正座をし、今にも叫びだしそうな心の声を抑えるように
息を整え
4つに折られた手紙を…ゆっくり開きます
(後編に続く)





