「一応丁寧に話しているつもりだけど、本当に正しいのか不安…」
「つい、何にでも「ご」をつけてしまって、敬語に自信が持てない💦」
そんなふうに、敬語を「なんとなく」使っていませんか?
今回は、スーパーナースの『敬語クイズ』で半数以上が間違えた問題をもとに、看護師さん向けの敬語のポイントをわかりやすく解説します。
さあ、「なんとなく」敬語から卒業しましょう!
👀記事を読む前に、『敬語クイズ』で自分の敬語力をサクッとチェック!
看護師が間違えやすい『敬語クイズ』ワースト3
まずは、正解率が低かった問題を振り返り、自分の敬語力を確認しましょう。
🥇ワースト1(正解率14.5%)
Q.夕方、患者の家族が主治医と話したいと言ってきましたが、主治医はすでに帰っていました。
このことを伝えるのに適切な敬語はどれですか?
①「A先生は、もうお帰りになりました」
②「A先生は、今日はもう帰りました」
③「A先生は、本日は帰宅しました」
④「A先生は、本日は退勤しました」
-
💡正解は、③「A先生は、本日は帰宅しました」
-
この場合は、敬語は患者家族に向けて使い、主治医には使いません。
そのほか、①は主治医に尊敬語を使っているため不適切、②はカジュアルすぎてしまう、④はビジネス用語で患者家族にはなじみが薄く、伝わりにくい可能性があるため不正解です。
📌さらに、「申し訳ありませんが」を頭に添えると柔らかい印象になります。
ポイントは、「ウチ」と「ソト」という考え方です。今回は以下のようになります。
- 患者家族 ⇒ ソト(外の人)
- 主治医 ⇒ ウチ(身内)
ウチとソトについての詳細はこちら👇
「ウチ」と「ソト」の使い分け
🥈ワースト2(正解率36.3%)
Q.電話で相手の名前をたずねる時、避けるべき敬語はどれですか?
①お名前を教えていただけますか
②お名前を頂戴できますか
③お名前をお聞かせいただけますか
④お名前を伺えますか
-
💡正解は、②「お名前を頂戴できますか」
-
この問題は、敬語として誤っている表現を選ぶものなので、正解は②の「お名前を頂戴できますか」となります。
「頂戴」は「もらう」という意味です。
よく聞くフレーズですが、名前を“もらう”ことはないため、「お名前を頂戴できますか」は誤用になります。
なお、一説によると、ビジネスシーンで「名刺を頂戴する」という表現が誤って使われたことが、そのまま広まったとも言われています。①・③・④は正しい敬語です。相手の名前をたずねるだけでも、さまざまなバリエーションがありますね。
📌「恐れ入りますが」や「差し支えなければ」などのクッション言葉を文頭に添えると、より丁寧になります。
📌フルネームや漢字を知りたい場合は、「フルネームで」「漢字で」と付け加えると良いでしょう。
🥉ワースト3(正解率52.3%)
Q.患者と家族に、あとで病室に来ることを伝える際の適切な敬語はどれですか?
①後ほど、また伺います
②後ほど、また来ます
③後ほど、また伺わせていただきます
④後ほど、また参ります
-
💡正解は、①「後ほど、また伺います」
-
「来る」の謙譲語は、「伺う」と「参る」。
2つの違いは以下のとおりです。- 「伺う」⇒ 訪問先に敬意を示す
- 「参る」⇒ 聞き手に敬意を示す
そのため、患者さんに「また来ます」と伝える際には、「また伺います」という表現が適切です。
一方、④の「参ります」は、上司に自分の行動を報告する場面など、聞き手に敬意を示す必要がある場合に使われます。
たとえば、以下のように誰に敬意を示すかによって使い分けることが大切です。
・患者さんに対して⇒「明日また伺います」
・上司に対して⇒「午後から○○病棟へ参ります」
そのほかの選択肢についても見てみましょう。
③の「後ほど、また伺わせていただきます」は、謙譲語「伺う」に、同じく謙譲語の「~させていただく」をつけた形です。
「~させていただく」は相手の許可や恩恵を受けて自分が行動する場合に使います。
しかし、過剰にへりくだったり、実際には許可を得ていない行動に使うと、不自然な印象を与えてしまいます。
迷った時は、ほかの表現に言い換えるのが無難です。
②の「来ます」は丁寧語ですが、カジュアルな印象を与えてしまい、やや丁寧さに欠けます。
敬語の基礎知識:間違えやすいポイントを整理
『敬語クイズ』の解答傾向から看護師さんの間違えやすいポイントが見えてきました。
早速チェックしてみましょう!
1.タメ語と敬語の使い分け
「この人には敬語?それともタメ語?」
そんな迷いを感じたことはありませんか?
敬語を使うかどうかは、話し手と相手の関係性や、心理的な距離感によって変わります。
つまり、相手との距離が近いほどタメ語になりやすく、距離があるほど敬語が必要になります。
下図では、タメ語と敬語の使い分けを整理しています。
ピンクの矢印は関係性、水色の矢印は心理的な距離を表しています。

目上かどうかで使い分けると言われると、一見難しく感じるかもしれません。
しかし、以下のように相手との関係性などによって自然に使い分けていませんか?
- 自分の家族にはタメ語
- 学校の先生には敬語
では、タメ語と敬語の使い分けを理解したところで、次に進みましょう!
2.丁寧語・謙譲語・尊敬語の使い分け
敬語には、以下の3種類があります。
それぞれの違いを整理してみましょう。
| 種類 | 例 | 説明 |
|---|---|---|
| 丁寧語 | です・ます | 話し手が文末に「です・ます」をつけて、相手に敬意を示す言葉(誰にでも使える基本の敬語) |
| 謙譲語 | 伺う・いたす | 話し手が自分側の動作や物事をへりくだることで、相手に敬意を示す言葉(=自分が主語) |
| 尊敬語 | おっしゃる・なさる | 話し手が話題の人物の行為や状態、所有物などに対して敬意を示す言葉(=相手が主語) |
たとえば、患者さんと話していて検査結果を見せてもらう場面では、以下のように使い分けます。
- 丁寧語「○○さん、検査結果を見ますね」
- 謙譲語「○○さん、検査結果を拝見します」
- 尊敬語「○○さんも、検査結果をご覧になりますか?」
3.「ウチ」と「ソト」で変わる敬語
敬語の使い分けには、「話し相手が目上かどうか」に加えて、「誰に向けて、誰のことを話すか」という関係性が大きく関わってきます。
この時のポイントとなるのが、「ウチ」と「ソト」という考え方です。
- ウチ ⇒ 自分が所属している集団(例:家族・会社・病院など)
- ソト ⇒ 自分が所属していない外部の人(例:患者・取引先など)
敬語は、「ソトの人」に向かって「ウチの人」のことをどう表現するかによって使い方が変わります。
つまり、「誰に向けて、誰のことを話すか」によって、敬語の形が決まるのです。

たとえば、患者さんに医師のことを話す時は以下のとおりになります。
- 患者(病院外の人) ⇒ ソト
- 医師 (自分と同じ病院の人)⇒ ウチ
この場合、看護師が「ソト」である患者さんに「ウチ」である医師のことを話すため、医師に対しては尊敬語を使わず、丁寧語や謙譲語を用いて説明します。
▼会話例
患者「A先生はいらっしゃいますか?」
看護師「ただ今、A先生は外出しております」
患者「いつ頃、戻られますか?」
看護師「15時頃には戻る予定です」
患者「わかりました。またその頃に伺いますね」
※「先生」という呼び方は敬称ですが、医療現場では習慣的に使われています。
このように、「誰に向けて、誰のことを話すか」を考える際には、「ウチ」と「ソト」の関係性を意識することが大切です。
もちろん、「誰と話す時」には、その相手が目上かどうかも忘れずに意識して敬語で話しましょう。
-
📌「ウチ」と「ソト」のポイント
-
- 「ウチ」=自分が所属する集団(病院・会社・家族など)
- 「ソト」=自分が所属していない人(患者・取引先など)
- 「ソトの人」に「ウチの人」のことを話す時は、尊敬語ではなく、丁寧語や謙譲語を使って説明する
- 「誰に向けて、誰のことを話すか」で敬語の形が決まる
- 忘れずに、話す相手が目上かどうかも意識して敬語を使う
4.実践のコツ:よく使う“型”を覚える
敬語の基礎を押さえたあとは、実践あるのみです。
しかし、いざとなると、言葉が出てこない…。これでは困りますよね。
その解決策は、敬語の型を覚えること。
下表によく使うフレーズを「丁寧語・謙譲語・尊敬語」で整理しました。

▼例
- 患者さんにご家族の訪問時間を聞く ⇒ 「ご家族は何時頃にいらっしゃいますか?」
- 食事介助をする ⇒ 「もう少し召し上がりますか?」
- 患者の前で検査結果を確認 ⇒「検査結果を拝見します」
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📌「ご/お」をつけるタイミング
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▼「ご/お」をつける
- 相手の行為・物事・状態 ⇒ ご案内、ご意見、ご家族
- 動作の向かう先に立てるべき相手がいる ⇒ お電話します、ご相談させてください
▼「ご/お」をつけない- 自分の動作・物事・状態 ⇒ 報告します、説明します、結婚します
まとめ:敬語は「完璧」より「適切な使い分け」が大切
いかがでしたでしょうか?
敬語を使うと、少し堅苦しく感じることもあるかもしれません。
でも、言葉は時代や人との関係性によって変化するものです。
言葉は、あなたの気持ちや考えを伝える大切な道具。そして敬語は、相手に敬意を示すために使います。
「なんとなく」使うのではなく、基本ルールを押さえたうえで、自分の意思で使い分けてみてください。
最後に、おさらいです。
敬語の使い分けで大切なポイントは、次の3つです。
1.丁寧語・謙譲語・尊敬語の違いを理解する
2.「誰と話す時」は、その相手が目上かどうかも忘れずに意識して敬語を使う
3.「誰に向けて、誰のことを話すか」の時はウチとソトを意識して敬語を使う
4.よく使うフレーズの型を覚えて迷わないようにする
『敬語クイズ』で敬語力をチェック!

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スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。






