「看護師になりたい理由」は、進学面接・就職活動や転職活動の面接でも必ずといっていいほど問われるテーマです。
しかし、いざ聞かれると、何をどう答えればよいか迷う人も多いでしょう。
この記事では、代表的ななりたい理由を整理しながら、その背景や伝え方のヒントをまとめています。
よくある理由を自分の体験やエピソードと結びつけて話せると、説得力のある答えにつながるので、参考にしてください。
看護師になりたい理由の代表例7つ

看護師を目指す志望動機は人それぞれですが、面接でよく聞かれるのは、典型的な理由です。
ここでは「人の役に立ちたい」や「医療に関心がある」など、多くの学生や転職希望者が、共通して語る代表的な「なりたい理由=志望動機」を7つ紹介します。
それぞれの理由の背景を理解し、自分の体験と結びつけて伝えると、より説得力が増すので、チェックしていきましょう。
1.人の役に立ちたい
「人の役に立ちたい」という理由はもっとも多く挙げられる動機の一つです。
小さい頃から家族や周囲を支える存在に憧れたり、奉仕精神が強い人に多い傾向があります。
ただ抽象的に語るのではなく、ボランティア活動や身近なサポート経験など、具体例を添えて面接官に伝えるのがポイントです。
看護師という職業は、人を助けたいという気持ちが大きな力になる仕事なので、原点として非常にふさわしい志望動機になります。
2.医療への関心が強い
理系科目が好きで、医療や人体の仕組みに興味を持ってきた人は「医療への関心」を理由に挙げることができます。
医師や看護師が働く姿を間近で見て、医療の現場で自分も役に立ちたいと考える人も多いでしょう。
面接では、単に医療に興味があると伝えるだけでなく、授業や実習での学び、医療に触れた経験などを具体的に盛り込むと説得力が増します。
知的関心と行動が結びついていることを示すのがポイントです。
3.安定した職業に就きたい
国家資格であり、医療現場で常に需要のある看護師は「安定した職業」としての魅力も大きいです。
ライフプランを考える中で、長期的に働ける仕事を選びたいという理由も自然にみえます。
ただし、「安定しているから」だけでは動機として弱いため、安定性を土台に「だからこそ長くキャリアを積みたい」「家庭と両立しながら働ける環境を選びたい」と未来の展望を加えることが大切です。
転職活動でも、現実的で誠実な動機として受け止められやすい理由といえます。
4.看護師への憧れ
ドラマやメディアで看護師の姿を見て、「自分もナースになりたい」と憧れを抱いた人も少なくありません。
純粋な気持ちからの動機であり、学生の志望理由としては自然です。
ただし面接では、憧れの気持ちを語るだけでなく、「実際に臨床実習で学んでさらに意欲が高まった」など、具体的な体験につなげると説得力が増します。
憧れから、現実的な目標に変化している流れを示すことが重要です。
5.専門性を磨きたい
将来的に助産師や認定看護師など、専門資格を取得してキャリアを広げたいと考える人は、「専門性を磨きたい」という理由を軸にできます。
専門領域で活躍する看護師の姿に触れて、明確なビジョンを持った志望理由は、面接官にも前向きに受け止められやすいです。
「特定分野で力を発揮したい」「患者により高度なケアを提供したい」という熱意を加えると、キャリア志向の強さが伝わります。
6.地域や社会に貢献したい
高齢化や地域包括ケアの進展に伴い、「地域や社会に貢献したい」という理由を持つ人も増えています。
地域医療や在宅看護に関心を持ち、看護師の役割を医療現場だけでなく、社会全体に広げて考えられる点は強みです。
学生であれば「地元で地域医療に貢献したい」、転職者なら「社会全体のニーズに応えたい」など、立場に合わせた表現を取り入れましょう。
社会貢献の意識を示すと、面接で好印象を与えやすい理由になります。
7.身近な入院や介護経験
自分自身の入院経験や、家族の看病・介護を通じて看護の仕事を意識するようになった人も多いです。
大切な人を支える場面で看護師の存在に救われ、その経験から「自分も同じように誰かを支えたい」と考える動機は、強い説得力があります。
体験に基づいた理由は、面接官に共感されやすく、志望動機として深みが出ます。
エピソードを簡潔に整理して語ることで、感情だけでなく行動につながっていることを、しっかりと伝えられるようにしましょう。
「看護師になりたい理由」面接での答え方のコツ
「看護師になりたい理由」は、面接で必ず聞かれるといってもよい質問です。
ただし、体験談を語るだけでは説得力が弱く、相手に響きにくい場合があります。
大切なのは、体験を「志望動機」に変換して伝えることです。
きっかけから学び、そして将来どう活かすかまでを一貫して整理すれば、面接官に具体的なイメージを与えることができます。
学生・新卒の場合
入試や新卒採用の面接では、「なぜ看護師になりたいのか」を端的かつ前向きに伝えることが求められます。
単に「家族の入院がきっかけでした」と言うだけでは印象に残りません。
エピソードを語るときは、体験から得た学びを明確にし、その経験を将来どのように活かしたいかまでを一貫させることが重要です。
例えば、「家族の入院を通じて看護師の支えの大切さを知った。その経験を通じて、命を支える仕事に関心を持つようになり、患者に寄り添える看護師を目指したい」といった流れにすると説得力が増します。
さらに、志望校や志望病院の理念と自分の動機を結びつけると、より具体性とオリジナリティを持たせることができます。
社会人・転職の場合
転職面接では、「なぜ看護師を続けたいのか」と「なぜ転職を考えたのか」を、一貫して説明することが大切です。
現職に不満を抱えているだけでは前向きな印象を与えにくいため、転職によって実現したい目標を明確に語る必要があります。
例えば、「現職では夜勤が多く、患者一人ひとりと向き合う時間が限られてしまった。より丁寧なケアを実現するために転職を決意した」という形で語れば、現状の課題と新しい環境で実現したい理想が一つのストーリーになります。
ネガティブな要因を単なる愚痴で終わらせず、前向きなキャリアビジョンに結びつけることが面接突破の鍵です。
キャリアの整理や伝え方に不安がある場合は、転職支援サービスを活用して客観的なアドバイスを受けるのも効果的です。
理由を伝えるときの注意点
看護師になりたい理由を伝えるときの注意点とコツとして、下記の4つを意識しましょう。
-
抽象的すぎない表現にする
ネガティブな表現は避ける
オリジナリティを出す
将来のビジョンと結びつける
抽象的すぎない表現にする
「人の役に立ちたい」だけでは、曖昧で弱く聞こえます。
具体的な体験や、将来像に結びつけると、説得力が高まり、印象に残りやすいです。
ネガティブな表現は避ける
「現職がつらいから辞めたい」といった言い方では、ネガティブ=後ろ向きな印象を与えてしまいます。
「より患者と向き合って看護がしたい」「新しい環境でスキルを磨きたい」などと、言い換えることが大切です。
オリジナリティを出す
誰にでも言えそうな一般的な動機ではなく、自分だけの体験や背景を盛り込むと、他の候補者との差別化につながります。
将来のビジョンと結びつける
単なる動機で終わらせず、志望先でどのように成長し、貢献したいのかを示すことが大切です。
より前向きで、具体的な印象を残せます。
まとめ
「看護師になりたい理由」は、誰にとっても答えに迷いやすいテーマかもしれません。
しかし、体験談から得た学びを整理し、それを志望動機へとつなげて説明すれば、面接で伝わりやすい形になります。
転職希望者の場合は、自分のキャリアの軸として言語化することで、納得感のある答えにつながるでしょう。
理由を見直す作業は、自分らしい働き方を考える第一歩でもあります。
面接のためだけではなく、これからのキャリアを前向きに描くきっかけにしていきましょう。
看護師になりたい理由に関するよくある質問
看護師になりたい理由は、短くまとめた方がいいですか?
- 面接では長すぎる説明は避け、1分程度で伝えられる長さが理想です。体験談を盛り込む場合も「①きっかけ、②学び、③動機」の流れで簡潔にまとめましょう。
学生と社会人でなりたい理由の答え方が違いますか?
- 学生・新卒の場合は「看護師を志したきっかけや学び」を中心に、将来のビジョンを示すのがポイントです。一方、社会人・転職者は「なぜ看護師を続けたいのか」と「なぜ転職を考えたのか」を一貫して答える必要があります。
家族の介護を理由にしても大丈夫ですか?
- 問題ありません。ただし「介護を通じて患者に寄り添う姿勢を学んだ」など、自分の成長や看護師としてどう活かしたいかまでつなげると、説得力が増します。単なる感情的な体験談だけで終わらせない工夫が、必要です。
転職理由と「なりたい理由」はどうつなげればいいですか?
- 転職理由を前向きに語り、それを実現するために、新しい職場でどう働きたいかを加えると自然につながります。例えば、「現職では夜勤が多く患者に時間を割けなかったが、転職して一人ひとりに丁寧な看護をしたい」という流れが有効です。
志望動機が思いつかないときはどうしたらいいですか?
- 自分の過去を振り返り、看護師を目指すきっかけとなった出来事や影響を受けた人を洗い出してみましょう。また、働き方やキャリアプランを考えると、自然に理由が見えてくることもあります。転職支援サービスを利用してキャリアの棚卸しをするのも効果的です。
「安定しているから」だけを理由にするのはNGですか?
- 「安定しているから」だけでは動機が浅く見えてしまいます。ただし、「安定した職業で長く働けるから、将来のライフプランを描ける」といった具体的な視点を加えると、説得力が高まります。
看護師になりたい理由はどのくらい具体的に話すべきですか?
- 抽象的な答えでは、印象に残りません。家族の入院やボランティア経験など、自分だけのエピソードを交え、そこから学んだことを明確にしましょう。具体性があるほど、面接官にあなたの姿をイメージしてもらいやすくなります。

スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。






