褥瘡（じょくそう）は、寝たきりや体動困難な患者さんに起こりやすい合併症です。
発生すると治療に時間がかかり、感染や疼痛、生活の質（QOL）の低下にもつながります。

だからこそ、褥瘡予防には「クッションを使ったポジショニング」が欠かせません。

今日は、看護師がすぐに取り入れられる褥瘡予防のための「ポジショニングの基本」と「クッションの当て方」をご紹介します。

褥瘡予防のポジショニング

ポジショニングとは、患者さんが安楽に過ごせるよう姿勢を整えるケアのことです。

その目的には、褥瘡の予防や関節拘縮の防止、呼吸・嚥下機能の維持、さらに快適性の向上があります。

褥瘡予防に効果的なポジショニングの基本ポイントは以下の通りです。

1. ①体圧分散を意識する
   仙骨部・踵・肘などの骨突出部に長時間圧がかからないようにします。
2. ②クッションや枕を上手に使う
   クッションの当て方を工夫し、姿勢を安定させ、ずれやねじれを防止します。
3. ③定期的な体位変換を行う
   目安は2時間ごとですが、皮膚の状態・体格・マットレスの種類によって調整が必要です。

ポジショニングを行うにはクッションの当て方がとても重要です。次はクッションの当て方のポイントを確認しましょう。

クッションの当て方とポイント

1. ①全身を「面」で支える

 

身体とベッドや椅子との隙間を埋めるようにクッションを配置し、空間ができないようにしましょう。
一部を支えるのではなく、部位全体をクッションで「面」として支えることを意識しましょう。

2. ②体圧を分散し、ずれを防ぐ

 

クッションを入れすぎないこともポイントです。局所的に圧がかかると逆効果になってしまいます。
シーツや衣服のしわ・引っ張りをこまめに整えることで、ずれによる皮膚損傷を防ぐことも重要です。

3. ③圧迫されやすい部分を保護する

 

• 肩・腰・腕： 肩甲骨や腰のラインに沿ってクッションを当て、骨突出部を保護します。
• 膝の間： 股関節が内側に巻き込まれないよう、膝の間にクッションを挟みます。
• かかと： 膝～足首の下にクッションを入れてかかとを浮かせるようにしましょう。

※円座（ドーナツ型クッション）は圧が集中しやすいため褥瘡予防には適していません。

マンガ／ほりたみわ
（敬称略）