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Vol.0003 名乗り出る?新幹線内の急患アナウンス|「思わずうなずく看護のはなし」OL看護師マツコのナースブログ

Vol.0003 名乗り出る?新幹線内の急患アナウンス  [2013/10/15更新]

こんにちは!
いよいよ行楽の秋がやってきましたね!
お出かけの際、新幹線や飛行機を利用された方もいるでしょうが、
みなさん、急病の方がいて医療関係者を探すアナウンスを
聞いたことはありますか?
マツコは一度だけ経験があります。

それは、帰省した実家から家に戻る新幹線の中でした。
その時、マツコ2年目看護師。
今でこそ、そこそこ落ち着いた格好をするようになりましたが、
その当時は、レンギンスにインド雑貨屋で買ったスカートとTシャツ、
腕には数珠やレザーのブレスレットをつけて、
とんがった靴を履いて、グリグリパーマに帽子。
どこから見ても、看護師には見えない恰好をしていました。
そんな私の隣に途中の駅で、一人の女性が横に座りました。
座った途端、携帯を出して斜め上からピース付きの自分撮りを始めた彼女。
お化粧ばっちりで、マツコとは真逆に飛んでしまったフリル系の服。
「変わった人やなぁ」と思って見ていたそんな時、
例のアナウンスが流れたのです。

「ご乗車のお客様にお願いがございます。
急病のお客様がいらっしゃいます。
お客様の中で、お医者様、
もしくは医療関係の方がいらっしゃいましたら
○号車まで起こしいただけましたら幸いです。」

ちょっぴり悩みましたが、私、立ち上がってしまいました。
と同時になんと隣の彼女も立ち上がったのです。
たぶんお互い、
「なんで、この人が!?」
と思ったはず…
しかし、立ち上がってしまったから仕方ない。
そこからそんな二人で、指定された車両まで歩いたのですが、
乗っていたのは、16両編成ののぞみで、私たち二人がいたのは自由席、
急病の方がいるのは,先頭車両に近い車両でした。

そのため、結構な距離を歩きました。
アナウンスはもちろん、乗客全員が聞いていたので、
みんな私たちを振り返って見るんですよ。
乗客たちの視線に踊らされ、速足で険しい表情をして歩いてみましたが、
所詮、先に述べたような、変な恰好の私とやっぱりちょっと飛んでる彼女です。
もし私が、座っている一般客で、振り返って見る立場だったら、
「ん?看護師?大丈夫?」と少し疑問を持つような二人でした。

そして、歩いているうちにだんだん不安が出てきました。

「私に何ができるんだ?」

意識レベル分けや、簡単なバイタルチェックはできたとしても、
できるのはそこまで。
最悪、心肺停止であれば、心マ、AED…
採血セットや点滴セットがあるわけでもありません。

「そもそも、ドクターがいなかったらどうしよう。
看護師は、医師の指示の下で医療行為ができるのであって…。」

そう、看護師にできることって、限られているのです。

後悔ももう遅く、歩いている足を止めることはできません。
そしてとうとう、急患が待つ車両に到着。

結構な距離を歩いたのと不安で胸はドキドキ。

ですが、幸いにもすでに乗り合わせたドクターが先に着いていらして
診察をされていました。
患者さんも意識があり、特別に痛がったり苦しんだりされることもなく
私たち二人はただ見守るだけでした。
次の駅で、救急車が待機してくれていて、患者さんは運ばれていきました。

お見送りをして、再び彼女と乗客たちに見られながら歩く帰り道、
下記のことを再び冷静に考えていました。

「医療器具も医師もいない場合、
看護師にできることは限られている」

今回、これを書く上で、ある医師のブログを読む機会があり、
そのブログにも同じような内容の葛藤が書かれていました。
特に医師の場合は、そんな状況下の中で判断を下すわけですが、
それが誤診で訴えられる場合のリスクを考えると名乗りでない方も多いと。
これは、難しい。確かに、とも思う。
でもやはり、そのアナウンスに応えないというのは
ナースコールに応えないということと同じことのような気がします。
例え無力であっても、苦しんでいる方に対して、
医療者として真摯に応えていきたいと思います。

と、真面目に書き綴りましたが、
マツコ、この他にもカニ食べ放題ツアーで、
さんざん食べて、飲んだあとの温泉で具合が悪くなった
おばちゃんに遭遇したことがあります。
しかし、その時は、一緒に参加していた先輩から
「看護師やって言ったらあかんで」と言われ、
そのまま手出し、口出しはせず、様子観察してしまいました。

なぜ、先輩がそう言ったのかというと、
みなさんも経験があるかと思いますが、
そんなツアーなんかで「看護師のお姉ちゃん達がいる」となると、
例えおばちゃんが元気になったあとも、
医療ネタで話しかけられて、気づいたらそのツアーの
「付き添いナース」になりかねないのです。

結局そのおばちゃんは、少し休んだらすぐに元気になって、
帰りのお土産屋さんで沢山お菓子をつまみ食いをされていましたけどね。
とはいえ、万が一そのおばちゃんが急変したら、きっとその時は、
私に看護師であることを伏せるように言った先輩が
一番に駆け寄って対応したと思います。
看護師ってそんなものですよね。

どんな時でも、看護のココロは忘れずに、
患者さんにも自分自身にも真摯な気持ちでいたいですね。

マツコ

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