点滴ルートの自己抜去が起こりやすい患者さんは？

点滴ルートの自己抜去は、意識レベルの変動や認知機能の低下、不安感や身体的不快などがある患者さんに特に起こりやすいです。
「なぜ抜いてしまったのか？」の背景を知ることで予防策のヒントにもつながるので、確認しておきましょう。

• 夜間に意識レベルが変動しやすい（例：せん妄の出現）
• 認知症や高齢により理解力が低下している
• 入院環境に慣れておらず不安が強い
• 点滴部位に痛みや違和感、かゆみがある

自己抜去によって起こる問題は？

• ・点滴治療の中断
• ・出血や皮下出血
• ・感染リスクの上昇
• ・新たなルート確保による患者さんへの負担

自己抜去を起こさないために

自己抜去は“予防”がとても大切。
ちょっとした工夫や声かけが、自己抜去の防止につながります。

• リスクがある患者さんには特に注意を払う
• 点滴の目的や必要性を丁寧に説明し、理解を得る
• 点滴ルートは視界に入りにくい位置（例：袖口の中など）に固定する
• 不要なルートはそのままにせず、速やかに抜去する
• 不快感（痛みやかゆみなど）があれば早期に対応する
• 必要に応じて抑制具の使用を検討する（※倫理的配慮が必要）

自己抜去が起こったらどうする？

まず確認すべきポイント

• ・出血の有無（出血があれば圧迫止血）
• ・抜去された物品の確認（針やカテーテルの破損や先端が残っていないか）
• ・患者さんの意識・全身状態
• ・不潔操作による感染リスクの有無

対応の流れ

• １止血・創部の保護
  → 出血があれば清潔なガーゼで圧迫止血し、創部を保護します。
• ２主治医やリーダーへ報告
  → 点滴再開の指示や、必要な検査の有無を確認します。
• ３新たなルート確保の準備
  → 医師の指示があれば再穿刺を実施します。
• ４状況の記録
  → 発生時間や状況、対応内容、患者の様子などを記録します。
• ５再発防止の対策
  →再発を防ぐための対策をチームで共有・実行します。
  →頻繁に自己抜去を繰り返す場合は、多職種によるカンファレンスの実施も検討しましょう。

まとめ

今回は点滴ルートの自己抜去についてのお話でした。
さまざまな患者さんがいらっしゃるからこそ、一人ひとりに合わせた対応が求められます。
ご紹介したポイントを日々のケアに取り入れ、予防と早期対応に努めていきましょう。