看護師の転職・就職活動において、履歴書の「自己PR」は非常に重要なポイントです。
ここで自分の強みをしっかり伝えることで、ほかの応募者と差別化を図り、希望する職場からの内定に一歩近づくことができます。
しかし実際には、ほかの応募者と似たような内容や、印象に残らない薄い自己PRを書いてしまっているケースも少なくありません。
この記事では、ほかの応募者に差をつけるために、履歴書の自己PRに盛り込みたい4つの要素と、内定獲得につながる自己PRを作成する秘訣5つをご紹介します。
内定獲得への意欲を高め、納得のいく結果を得るためのヒントが詰まっています。ぜひ参考にしてください。
看護師としての自己PRの目的
履歴書の「自己PR」は、転職活動において看護師自身の強み、経験や専門性をアピールできる重要な項目です。
自分が持つ専門知識や技術、これまでの経験を具体的に記載することができ、ほかの応募者との差別化が図れます。
また、自己PRは求職先の病院に対して自分がどのようにマッチし、具体的にどのように貢献できるかを示すことができる絶好の機会です。
さらに、自己PRを通じて面接官に自身の人間性や職業観を理解してもらうこともできるので、履歴書を作成するうえで、特に力を入れたいところです。
採用担当者が求める看護師像
採用担当者は、看護師に求める理想像として、技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力といった、過去の経験からうかがえる資質も重視しています。
具体的には、採用担当者は次のような点を見ています。
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①コミュニケーション能力
患者や同僚との円滑な意思疎通ができる。
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②チームワーク
多職種と協力しながら、質が高いケアを提供できる。
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③問題解決能力
予期せぬ状況に柔軟に対応し、適切な判断を下せる。
これらは、看護師として欠かせない要素です。
これらの資質があることを自己PRで効果的に表現することで、応募先の病院が求める看護師像にマッチするとアピールできるのです。
自己PRが内定獲得につながる理由
自身の経験やスキル、専門性を自己PRすることで、求職先の病院に対して自分がどのように貢献できるかを示すことができます。
面接や履歴書選考において、具体的なエピソードや実績を盛り込んだ自己PRは、採用担当者の記憶に残りやすくなります。また、実際に採用してどのように活躍できるのかイメージできるため、内定に至りやすくなるのです。
具体的には、どのようなものを自己PRに盛り込み、アピールすべきか、次に詳しく解説します。
自己PRに盛り込みたい看護師のスキルと経験4つ
自己PRに盛り込みたい、内定につながる看護師のスキルや経験を紹介します。
①看護経験と専門性
看護師として、これまでの勤務先で担当した専門分野や、特定の業務においてどのような役割を果たしたかについては、必ず盛り込むようにしましょう。
特定のプロジェクトや業務で達成した実績があれば、それについて具体的に紹介することで長所や専門性が強調できます。
たとえば、緊急時における迅速な対応やチームでのリーダーシップを発揮した経験など、具体的なエピソードを用いることがポイントです。
さらに、これらの経験や専門知識が応募先の病院でどのように役立つかまでを明示することが重要です。
自分が培った専門知識やスキルが、病院のニーズや目標達成にどのように貢献できるかを具体的に示すことで、採用担当者に強い印象を与えることができます。
②患者とのコミュニケーション能力
看護師として患者との信頼関係を築くことは、看護師として重要なスキルです。具体的なエピソードを交えてアピールしましょう。
たとえば、患者の不安を和らげるために心がけているコミュニケーション方法や、患者一人ひとりの状況に合わせた対応力を具体的に記載することで、応募先の病院に対して自身の適性を示すことができます。
さらに、難しい状況下での対応例や、感情的なサポートを提供した経験を紹介することで、コミュニケーションスキルにおいて、ほかの応募者よりも優位性があることを示せます。
具体的な成果やエピソードを盛り込むことで、自分の人間性や職業観を採用担当者に伝えることができ、内定獲得につながります。
③急性期の対応力
急性期の対応力を自己PRで強調することは、看護師としての価値を高め、応募先の病院における即戦力としての印象を与えるために非常に重要です。
まず、急変時の迅速な判断や行動の経験を具体的に記述しましょう。緊急事態において冷静に対応し、適切な処置を迅速に行なった事例を挙げることで、専門的なスキルと臨機応変な対応力を示すことができます。
最後に、急性期医療に対する理解と、そこで培ったスキルが応募先の病院にどのように貢献できるかを示します。急性期医療の特性や重要性を理解し、自身のスキルがどのように病院の患者ケアや業務効率向上に寄与するかを明確に説明することで、説得力のある自己PRが完成します。
④チームワークとストレス耐性
次に、ストレスが多い環境下でのチームとの協力体制をアピールできるといいでしょう。
高度なストレス下でも冷静さを保ち、チームメンバーと円滑にコミュニケーションをとりながら効果的に業務を遂行した経験があれば、具体的に記載しましょう。
看護師の職場では人間関係で悩んで離職する人も多いです。ストレス耐性があり、チームワークが円滑にとれた経験は、ほかの応募者に対して優位性があります。
内定獲得のための5つの秘訣
内定を獲得するための秘訣を5つ紹介します。実際に自己PRを作成する手順から解説していきます。
秘訣① 自分の強みを明確にする
自己PRを作成する際には、まず自分自身について理解し、強みは何なのか明確にすることが大切です。自身の強みを理解していなければ、応募先の病院に対して効果的にアピールすることができないからです。
自分の強みを明確にするためには、自己分析シートなどを活用して、自分の過去の経験や成果を振り返り自己分析しましょう。
また、次のような質問を自分にしてみて、答えてみることで自分自身についての理解が深まります。
「自分がこれまで達成したことで一番誇りに思うことは何か?」
「他人からよく褒められる点は何か?」
「困難な状況を乗り越えた経験はあるか?」
なお、看護師としての職務以外で得たスキルや経験についても強みになります。
強みとエピソードを結び付ける
次に、自己分析を行なって見つけた自分の強みを、リストアップします。他人に確認してもらうことで新たな気づきが得られることがあるので、フィードバックをもらうこともおすすめです。
リストアップしたそれぞれの強みに対して、具体的なエピソードを整理して結び付けるようにしましょう。
具体的なエピソードはその人しか持っていないものなので、より印象に残りやすくなります。
秘訣② 志望先の病院に合わせた内容を準備する
続いて秘訣の2つ目は、志望先の病院に合わせて自己PRの内容を準備することです。
採用担当者に、自分がその病院に最適な人材であることをアピールすることはとても重要です。
まず、志望先の病院の特徴や求める人材像を徹底的にリサーチしましょう。
公式サイトや採用情報、ニュースリリースなどから、病院の理念、医療方針、職場の雰囲気、求める人物像などを把握します。
次に、リサーチで得た情報をもとにして、自己PRの内容を具体的かつ病院の方針に沿うように調整します。
たとえば、チームワークを重視する病院であれば、「チームで協力して成果を上げた経験」を強調すると効果的です。
また、病院の専門分野と自分の経験やスキルを結び付けることで、マッチ度をより明確に伝えることができます。
秘訣①整理した自分の強みのなかから、志望先との相性が良いエピソードを選び、具体的な経験を交えてアピールしましょう。
病院の目標やミッションにどう貢献できるかを示すことで、あなたの価値と適応力がより伝わります。
秘訣③ 看護業務以外の経験もアピールする
看護業務以外の経験も自己PRでアピールすることは、自分の多面的な能力や幅広いスキルを示すことができるので有効な手段です。
これにより、採用担当者に対して単なる看護師としての能力だけでなく、他分野でのスキルや経験も活かせるバランスがとれた人材として、強く印象づけることができます。
リーダーシップやプロジェクト管理の経験など、看護師としての職務以外で得たスキルや経験を具体的に紹介しましょう。
たとえば、学生時代のリーダー経験やボランティア活動での組織運営経験などです。
看護業務以外の経験を通じて培った問題解決能力やコミュニケーションスキルをアピールし、看護業務にどのように活かされるかを具体的に述べることが重要です。
リーダーシップスキルはチームの調整やマネジメントに、語学力は多国籍な患者対応や国際的な医療環境でのコミュニケーションに活用できるといったように、看護業務につなげましょう。
秘訣④ 自己PRを練習する、自信を持つ
自己PRを自信を持って伝えるためには、実際に声に出して練習することが有効です。
繰り返し練習を行ない、自分の強みや魅力を自然に表現できるように準備しましょう。
以下では、効果的な自己PRの練習方法やフィードバックの活用法、そして自信を高めるための方法について詳しく解説します。
声に出して話す
自分の自己PRを声に出して練習することで、話し方や表現方法を確認できます。鏡の前で練習すると、表情やジェスチャーも意識しやすくなります。
録音して確認する
自分が話す姿や声のトーンを録音し、あとで聞き返すことで改善点を見つけることができます。これにより、より自然で自信に満ちた自己PRを作り上げることができます。
フィードバックを受ける
自分一人で練習するだけではなく、他人からのフィードバックを受けることで、より客観的な視点から自己PRをブラッシュアップできます。
信頼できる友人や同僚に 自分の自己PRを聞いてもらい、改善点や良い点を具体的に教えてもらいましょう。
専門家のアドバイスを活用する
キャリアカウンセラーなどに相談し、プロフェッショナルな視点からのフィードバックを受けることで、自己PRの質を向上させることができます
ポジティブな自己認識
自己PRを自信を持って伝えるためには、心の準備も欠かせません。ポジティブな自己認識を高めることで、面接時に自然体で自分をアピールできます。
ポジティブな自己認識を持つためには、自己対話を行なうことが有効です。 自分自身に対して前向きな言葉をかけ、自己肯定感を高めましょう。
リラックスできるようにする
深呼吸や瞑想などのリラックス方法を実践することで、緊張を和らげ、自信を持って自己PRを行なえるようになります。
これらを行ない自己PRの練習をすることで自信を深め、面接や履歴書作成時に効果的に自分をアピールできるようになります。
秘訣⑤ 採用担当者に印象づける自己PRを作る
どれほど優れた経験や強みがあっても、採用担当者の印象に残らなければ、効果的な自己PRとはいえません。
印象に残る自己PRを作るには、具体的なエピソードや実績を盛り込むことがポイントです。
たとえば、患者さんとの関わりで得た学びや、チームで成果を上げた経験などを紹介することで、あなたの強みや個性がより明確に伝わり、ほかの応募者との差別化につながります。
さらに、自分ならではの視点や価値観を表現することも大切です。
あなたらしさが伝わる言葉を使うことで、採用担当者の記憶に残りやすくなります。
また、エピソードは単なる事実の羅列ではなく、1つのストーリーとして構成することが効果的です。
ストーリー性がある自己PRは、読み手に強い印象を与え、あなたの魅力をより深く伝えることができます。
合格する自己PRの例文とポイント
それでは、自身のスキルや経験をどのように自己PRに盛り込めばいいのか、例文とポイントを紹介します。
新卒看護師の自己PR例文
新卒特有の経験や学びを活かした自己PRの例文と、そのポイントを解説します。
なお、応募先の病院のことを話す際は「御院」と呼び、書く際は「貴院」と表記します。
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例文
- 私は大学時代、地域医療のボランティア活動に積極的に参加し、多様な患者さんと接するなかでコミュニケーション能力を磨きました。
特に、高齢者との対話を通じて、信頼関係の構築と細やかなケアの重要性を学びました。
これらの経験を活かし、貴院でも患者さん一人ひとりに寄り添った看護を提供したいと考えています。
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ポイント
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- 具体的な経験やエピソードを提示。
- 実際の経験に基づいて、実際の看護業務における適応性をアピール。
- 自身の経験やスキルを、応募先の病院でどのように活かしたいかまでを明確に伝える。
ほかの応募者との違いを出すために、自分ならではの経験や強みをしっかりとアピールしましょう。
転職での自己PR例文
転職での自己PRは、前職での経験を記載することが大切です。
どのような経験をして、どのような学びがあったか、自身にはどのようなスキルがあるか、具体的に盛り込むようにしましょう。
なお、応募先の病院のことを話す際は「御院」と呼び、書く際は「貴院」と表記します。
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例文
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1.キャリアアップ転職をめざす場合
前の職場に10年ほど勤務し、新人看護師への教育にも積極的に取り組んできました。リーダー業務も経験し、長く勤めた分、培ってきたものも多いと自負しております。
貴院では一転して教育を受ける立場となりますが、可能なかぎり早期に独り立ちできるよう尽力して参りたいと思います。
また、将来的にはリーダー業務や管理職なども視野に入れ、日々鍛錬・研鑽に努めたく思っております。2.コミュニケーション能力を強調したい場合
私が看護師として強く意識していることの一つには、患者様との心のこもったコミュニケーションがあります。
さまざまな症状やお悩みを抱えて来院される患者様に対して親身になって相談に乗り、できる限りお悩みを和らげ、取り除けるよう力を尽くしていきたいと考えています。
また、同じ看護師の皆さまとも常に笑顔でコミュニケーションをとり、職場の和を大事にしながら正確な仕事に努めていきたいと思います。3.育児などでブランクがある場合
育児をしていた都合上、看護の現場から○年ほど離職しておりました。
しかし、育児の合間を見て復帰後に役立つようにと、さまざまな勉強を続けてきました。
たとえば、海外出身の患者さんとの円滑なコミュニケーションをとるための英会話、患者さんとの交流に役立つ話し方の知識などです。
また、貴院では復職後の看護師を対象にしたサポート制度が充実していると、うかがっております。
それらを積極的に利用し、できるだけ早期に一人前の看護師として貴院に貢献したいと思っています。
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ポイント
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- 経験や実績に基づいて、どのようなスキルがあるのかを示す。年数などの数字を盛り込む。
- 応募先のニーズにどのようにマッチするか、役立つスキルや経験を示す。
- 自身の成長や学び、考えを盛り込む(採用担当者にポジティブな印象を与える)。
- 応募先でどのように活躍していきたいか、採用担当者が自身が活躍しているイメージができるよう具体的に記載する。
応募先について調べ、どのような看護師を求めているのかを知ったうえで、自身の経験を整理し、応募先の病院が求める人物像に合わせて例文をカスタマイズしましょう。
面接での自己PRの伝え方
最後に、面接での自己PRの伝え方について、注意点やアドバイスを紹介します。
面接では、履歴書に記載した自己PRを実際に声に出して面接官に伝える機会があります。
面接での自己PRの伝え方は、採用担当者の印象を大きく左右させるので非常に重要です。
以下のポイントを押さえておきましょう。
- 話し方: 明瞭で自信を持った声で話す。
- 態度:積極的で前向きな姿勢を示す。
- 表情:自然な笑顔や適切なアイコンタクトを心がける。
- 非言語的要素:ジェスチャーや身振り手振りを適切に活用する。
自己PRを作成したあとは、実際に声に出して練習し、鏡を見て自身の表情や態度を確認してみましょう。
自然に伝えられるようになると、面接時にも高い評価を得ることができるでしょう。
まとめ
今回は、看護師の転職で履歴書を書く際に最も悩みがちな「自己PR」欄の書き方についてご紹介しました。
自己PR文を考えて書くことは大変な作業ですが、履歴書は応募先があなた自身を真っ先に知ることになるもの。
第一印象を左右する重要なツールと考え、時間をかけても内容を妥協せず練ってみましょう。
ご自身の言葉で好印象を与えられる、ほかにはないオリジナルの自己PR文をぜひ作ってみてください。
スーパーナースは看護師に特化した人材紹介派遣会社です。
これまで多数の看護師さんと取引先とのマッチングの実績があり、看護師に特化している会社だからこそのマッチング率、リピート率の高さ、案件数、全国展開、といったさまざまな強みがあります。
お仕事探しや転職に関心がある方は、ぜひ一度、スーパーナースにご相談ください。


スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。
