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看護師の初任給はいくらくらい?平均より高い?安い?

看護師のお仕事は、一般的にはお給料の高い職業と認識されるケースが多くなります。もちろん、長年経験を積んで昇進などをすれば、看護師の給与はどんどん上がっていくものです。
しかし、学校を卒業して初めて看護師として受け取る初任給となると、平均と比較してそれほど高いものでしょうか。
今回は、看護師の初任給の実態を調査した結果をもとに、新人看護師の給与水準についてご紹介しながら、将来的に給与アップをめざすための働き方についても説明します。

最新データでチェック! 看護師の初任給はいくら?

1.看護師の初任給は基本給で「20万円」ほど

公益社団法人日本看護協会が2018年に発表した調査データによると、看護師の初任給の全国平均学歴別で以下のようになっています。

【高卒+3年課程修了の場合】200,114円
【大卒の場合】207,013円

学歴によって若干の差は出るものの、平均するとそれほど大きな差はなく「看護師の初任給は、手当なしの基本給で20万円くらい」と把握することができます。

2.夜勤手当などを含む月給の場合は「26~27万円」ほど

上記でご紹介した初任給は、夜勤手当や職務手当などを含まない基本給で算出した平均値となります。実際に看護師として勤務すれば夜勤や残業などをするケースも多くなりますから、実際にもらえるお給料にはその手当も含まれることになります。
同調査データによる、学歴別の「手当込みの平均税込み支給額」での初任給(実際にもらえる手当込みのお給料)を以下にご紹介します。

【高卒+3年課程修了の場合】266,041円
【大卒の場合】273,854円

やはり手当を含めると、一般的な新卒の方のお給料よりは若干高めに感じられますね。
しかし、この金額に対しては賛否両論の声もあるかもしれません。まず「基本給だけで考えると予想より低めでは?」と思った方も少なくないでしょう。
特に大卒の新卒者の方の場合は、一般的なサラリーマンと比較しても基本給はそれほど高くないように感じたのでは。
残業や夜勤をしっかりこなすお仕事だからこそ、高いお給料がもらえると考えるべきかもしれません。

ちなみに、厚労省による「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、おもな産業の20~24歳までの給与水準を平均すると「207,200円」となります。
看護師の基本給ベースの初任給と、ほぼ変わらないことが分かりますね。
でも、看護師はコツコツ確実に働き続けたり、思い切ってキャリアアップにチャレンジしたりすることで、さらにお給料を上げられる可能性のある職業であることは確か。
そこで次の項目では、「看護師が給与を上げたいと思ったとき大切なポイント」をご紹介します。

看護師の手取りは年代別でどのくらい?

基本給や総支給額だけでは説明しにくいのが、看護師のお給料です。その理由は、給与控除される項目も多く、実際に手元に振り込まれる金額とは差があるため。ここでは、看護師のお給料のなかでも、手取り金額の年代別目安について、ご紹介します。

・女性看護師の年代別手取りはこのくらい

20代前半の看護師の、月々の手取りのお給料は平均で「23万円弱」ほどです。20代後半まで続けて働けば、手取りの平均は「25.5万円弱」まで上がります。
30代では少し上昇する程度で「25~26万」ほどですが、キャリアアップの成果があらわれる40代を迎えると「28万円前後」ほどまで手取り額は上がり、50代前半の「29万円弱」が年代別最高額になります。定年退職直前の50代後半には若干手取り額は少なくなりますが、看護師は働き続ければきちんとお給料が上がっていく仕事だといえそうです。

他の職業と比較して、看護師の給与額には差がある?

看護師は高給取りと言われがちな要因は、基本給が高いのではなく夜勤などで手当てが潤沢に支給されるためであることが分かりました。ここでは、看護師のお給料を他の職種と比較し、差があるかどうかを検証していきましょう。
厚生労働省による「平成30年賃金構造基本統計調査」では、看護師の年収の平均値は「4,799,300円」となっています。それと比較し、看護師を含めた全職種での女性の平均年収は「3,826,000円」となっています。女性の仕事に限って考えると、看護師の年収はすべての職業における平均年収を実に973,300円上回っていることになりますね。

施設別・規模別・学歴別に看護師のお給料をチェック!

看護師のお給料は、勤める施設の形態や規模・看護師自身の学歴などによっても違いがあるのでしょうか。ここでは、看護師のお給料について税込み給与総額を基準として施設別・規模別・学歴別に見ていきましょう。

1.職場の形態別でみる看護師のお給料

【国立の医療機関】

国が運営している「国立」の医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万5千円弱」ほどとなります。大学卒の場合だと「27万5千円」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合で「33万8千円」ほどまで上がります。

【公立の医療機関】

市町村や公立大学などが運営する「公立」の医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万2千円弱」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「27万2千円」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「34万円」ほどとなっています。

【公的な医療機関】

日本赤十字社やJA、済生会などが運営する「公的」な医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万2千円」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「27万円」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「34万円弱」ほどになります。公立の医療機関と、ほぼ変わらない給与水準であることが分かりますね。

【社会保険系の医療機関】

健康保険組合や共済組合などが運営する「社会保険系」の医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「27万2千円弱」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「28万2千円」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「35万6千円弱」ほどになります。国公立の医療機関より、若干高めの給与水準となっています。

【公益法人系の医療機関】

公益財団法人や公益社団法人など、公益法人が運営する医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万3千円」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「27万弱」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「32万円弱」ほどになります。

【医療法人や個人経営の医療機関】

医療法人や個人病院など、民間の法人・個人が運営する医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万3千円弱」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「27万弱」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「31万円」ほどで、勤続した場合の給与額が国公立・公的医療機関と比較して少なめになっています。

【その他の法人による医療機関】

私立大学や社会福祉法人、一般企業などが運営するその他法人の医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万8千円」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「27万6千円」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「33万円弱」ほどで、医療法人や個人クリニックなどと比較してごくわずかですが高めの給与水準になっています。

職場形態別にみると、それほど看護師のお給料に大きな差はみられません。ただし、法人や企業などは経営状況が給与に反映されやすい側面もあるため、病院の経営状況や規模によって給与に差が出ている可能性はあるかもしれません。

2.病床規模別でみる看護師のお給料

【99床までの医療機関】

病床規模が~99床の医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万円弱」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「26万7千円」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「31万円1千円」ほどとなっています。

【100~299床の医療機関】

病床規模が100~299床の医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万2千円」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「27万円弱」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「31万円8千円」ほどとなっています。

【300~499床の医療機関】

病床規模が300~499床の医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「26万7千円」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「27万円5千円弱」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「33万円7千円弱」ほどとなっています。

【500床~の医療機関】

病床規模が500床を超える医療機関に勤める看護師のお給料の平均は、高卒および3年制看護学校卒の場合で、新卒の税込み給与総額「27万2千円」ほどとなります。大学卒の場合だと新卒で「28万円2千円弱」ほどとなり、10年継続して勤めた30代前半の看護師の場合では「35万円弱」ほどとなっています。

病床規模別に看護師のお給料を見た場合、500床までの医療機関では規模ごとにさほどお給料の差はありませんでした。ただし、500床を超える規模の大きな医療機関になると、若干ではありますが高い給与水準となっているようです。

3.学歴別で見る看護師のお給料

学歴でくわしく看護師のお給料を見た場合のデータは、以下のページにまとめてありますのでぜひご参考にしてください。

http://www.supernurse.co.jp/contents/tenshoku_knowledge/rireki_sho.html

看護師が働き続けると、お給料はどうなる?

看護師として長く働き続ければ、基本的にはお給料は上がっていきます。しかし、その年代別平均よりも高いお給料をめざすには、以下のような方法をとる必要があるでしょう。

・管理職を目指して役付きの職務に就く
・高い手当がもらえる部署への異動を考える
・専門資格を取得する(認定看護師や専門看護師、保健師・助産師など)
・現職よりも給与水準が高い医療機関に転職する

役職手当や資格手当が支給されるようになれば、お給料は上がります。しかし、現職でキャリアアップの見込みがない場合や、すぐに給与をアップしたい場合には、給与水準の高い職場へ転職するという方法もあります。転職する場合、一般の求人情報を見るだけでは給与の高い職場を見つけることは難しいため、看護師専門の転職エージェントなどに登録し、好待遇の求人情報を逐一チェックすることが有効でしょう。

看護師が働く上で給与アップを考えるなら?

看護師が「将来的にもっとお給料を上げたい」と考えたときに取れる対策は、おそらく他の職業よりその選択肢も多いと考えられます。
ここでは、初任給は低くてもこれから給与アップをめざしたい! と考えている看護師さんのために、給与アップにつながる働き方についてご紹介します。

1.都市部の大学病院に勤務する

給与水準がもともと高い職場を、新卒の段階で選択する方法です。
基本給が高いといわれている病院は、都市部にある大学病院が多くなる傾向に。
なかでも、国公立の大学病院よりは私大の附属病院のほうがお給料は良いといわれています。
基本給の高さだけにとらわれず、手当の種類の多さなどにも注目して就職先を選びましょう。

2.資格を取得して手当アップを狙う

看護師にとって、専門資格を持っていることはかなりの強みとなります。
特に多くの職場で重宝される「専門看護師」や「認定看護師」などの資格は、昇進やキャリアアップにも有効。
資格手当も上乗せして支給されるため、資格を取ることは確実な給与アップにつなげられる手段の1つです。

3.管理職へ昇進

コツコツ派の方なら、長く勤めたり取得資格を活かしたりすることで将来的に管理職への昇進をめざすことも給与アップにつながります。
若いうちから華々しくお給料を上げることはできませんが、長くまじめに勤め続ける自信がある方なら確実でおすすめの方法です。
ただし、病院の規模などによっては昇進のポストが少ないこともあるため、若いうちに役職が多い病院へ転職してやり直すという選択肢もアリでしょう。

4.訪問看護は高い給与が狙える

病棟やクリニックなどの看護師に較べて、現在急速に需要が伸びている訪問看護のお仕事は給与水準が高くなります。
訪問看護は体力や機転が要求される仕事ではありますが、イレギュラーな対応や超過勤務が少なく、休日もきちんと決まっているというメリットがあります。
それでいて比較的高いお給料がもらえますから、給与だけでなくご自身の働き方から見直すことを考えているならおすすめです。

まとめ

今回は、看護師の初任給に関するデータをもとに、これから看護師として長く働くにあたり給与アップを考えるならどのような方法があるのかご紹介しました。
どのような職業でも「働き続けてもお給料が上がらない」といわれる昨今ですが、看護師は働き方の選択次第で給与アップの手段が多く用意されているお仕事。
そんな立場を活かし、次のステップを考えてみてはいかがでしょうか。
もし早いうちに転職して給与を上げたいと考えているなら、転職するだけで給与アップを狙える職場を選ぶのも手です。
転職エージェントや看護師専門転職サイトなどに登録すると、高給の非公開求人なども個別に紹介してもらえるため、有利な転職先を見つけやすくなるでしょう。

この記事を書いた人は
スーパーナース編集部

スーパーナース編集部

看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。

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