医療の現場で看護師が避けて通れないのが看護記録。そのなかでも、SOAPは看護実践の質を高め、情報共有や患者安全のために欠かせないスキルです。
しかし、現場ではよくこんな声を聞きます。
「SOAPって具体的にどう書くの?」
「OとAの違いが分からない…」
「SOAP形式だと時間がかかる」
この記事では、そんな悩みを解消するためにSOAPの基本からよくある失敗、書き方のポイントや具体例まで詳しく紹介します。
SOAPとは?看護記録で使う意味と目的
SOAPとは医療や看護の現場で用いられる記録方法のことで、主観的情報(Subjective)・客観的情報(Objective)・評価(Assessment)・計画(Plan)の4つの要素に分けて記録します。
それぞれの頭文字をとって「SOAP(ソープ)」と呼ばれ、情報の整理やチーム内での連携をスムーズにするための重要なツールです。
ここからはS(主観的情報)・O(客観的情報)・A(アセスメント)・P(計画)の4つの項目について、具体例とありがちなミスを交えながらわかりやすく解説していきます。

SOAPの書き方基本ルール
① S(Subjective data)|主観的情報
- 患者や家族が話した言葉をそのまま記載する。
- 記録者の主観は入れない。
記載例
『 胸がギューッと締め付けられる感じがする 』
『 夜になると不安で眠れない 』
Sでありがちなミス
記録者の推測を書く。
悪い例 – 『 痛みが強くて我慢できなさそう。』
良い例 – 『 痛みが強くて我慢できない 』
② O(Objective data)|客観的情報
- 数値データや検査結果、視診・聴診などの客観的事実を書く。
- 数値や具体的な言葉で記録する。
- 誰が見ても同じ情報になるように記載する。
記載例
『 BP 148/90 mmHg、HR 105bpm
SpO₂ 93%(room air)
顔面蒼白、冷汗あり
歩行時、呼吸数増加、息切れを訴える 』
Oでありがちなミス
「しんどそう」「顔色が悪い」などのあいまい表現だけで終わる。
悪い例 – 『 しんどそうにしている。』
良い例 – 『 表情苦悶、前かがみの姿勢、呼吸数28/分 』
③ A(Assessment)|アセスメント
- SとOを総合的に捉え、看護師としての専門的視点から状況を分析する。
- 看護問題を具体的に述べる。
- 「~の可能性がある」「~と考えられる」など根拠を入れる。
記載例
『 胸痛・呼吸困難より、心筋虚血の可能性を否定できない。』
『 睡眠不足により日中の活動量低下がみられる。』
『 痛みによりADL制限あり、セルフケア不足が懸念される。』
Aでありがちなミス
単なる感想で終わる。
悪い例 – 『 心配だ 』『 様子を見たい 』→評価になっていない
良い例 – 『 呼吸状態悪化が疑われるため、即時対応が必要。』
④ P(Plan)|計画
- 今後のケア計画を書く。
- Aに基づいた具体的なケア内容を記載する。
記載例
『 安静保持、医師へ報告。』
『 痛みの訴えが強く、鎮痛剤投与を医師へ相談予定。』
『 睡眠状況を継続観察、心理的サポート強化。』
『 家族へ経過説明、退院後の生活指導実施予定。』
Pでありがちなミス
抽象的すぎる。
悪い例 – 『 様子をみる 』『 必要に応じて対応 』
良い例 – 『 SpO₂を10分ごとに測定し、呼吸状態変化を観察』

SOAPのメリット
SOAPを取り入れることで得られるメリットは多岐にわたります。
ここでは、臨床の場で役立つポイントを整理してご紹介します。
- ①問題解決型の思考力が身につく
- ②他職種との連携がスムーズ
- ③法的リスク軽減
- ④カルテ監査にも強い
アセスメント力が向上し、ケアの根拠が明確になる。
記録のフォーマットが共通なため、情報共有がスムーズになる。
記録に根拠が残る。
誰が見ても患者の状態が把握できる。
記録だけではない活用法
- 申し送り
- 看護計画の見直し
SOAP形式で伝えると、情報が整理されて伝わりやすい。
AとPを定期的に見直すことで、ケアの質が向上する。

症状別の書き方例
ここでは、SOAPの書き方の参考になるよう具体的な記載例をご紹介します。
日々の記録に置きかえて考えるヒントとしてぜひご活用ください。
01呼吸困難を訴えるケース
S:「息がしんどい。胸が苦しい」
O:SpO₂ 90%(room air)、呼吸数28/分、顔面蒼白
A:呼吸状態悪化の可能性。心疾患または呼吸器疾患悪化が疑われる。
P:医師へ報告、酸素2L開始、バイタル10分ごと測定。
02不眠を訴えるケース
S:「夜になるといろいろ考えて眠れない」
O:夜間覚醒している。朝6時頃からうとうとしている様子あり。
A:不安による睡眠障害が考えられる。
P:不安軽減の傾聴実施、睡眠状況継続観察、必要時医師へ相談。
まとめ
SOAPは患者さんの状態を正確に把握し、適切な看護や治療につなげる大切なツールです。
要点を押さえて記載することで、自分だけでなくチーム全体の情報共有がスムーズになります。
日々の実践のなかで、SOAPの書き方を磨いていきましょう。
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スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
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