看護師の離婚率は高い？その理由と課題を改善するヒント

「看護師は離婚率が高い」と耳にすることがありますが、実際の統計はどうなのでしょうか？

この記事では、厚生労働省などの公的データをもとに、離婚率をめぐる現状と、そうした印象が生まれる背景を分析します。

看護師ならではの働き方・生活リズムの特徴から、離婚リスクを感じやすい理由を探り、対策のヒントを紹介します。

看護師の離婚率に関するデータと実態

「看護師の離婚率は高い」と言われることがありますが、厚生労働省などの公的統計には「職業別の離婚率」を明確に示したデータは存在しません。

そのため、「看護師だけが特別に離婚率が高い」という根拠は確認されていません。

しかし、関連する公的データから、そうした印象が生まれる背景を推測することが可能です。

厚生労働省の『人口動態統計』と『令和４年度 離婚に関する統計の概況』によると、女性の離婚率は30〜40代で高くなる傾向にあります。

看護師の多くはこの年代層に属しており、特に30代女性の割合が最も多いことが「衛生行政報告例」からも示されています。

このため、看護師の離婚率が、特別に高いのではなく、年齢構成上、離婚が起こりやすい年代の女性が多いことが、統計上の印象に影響していると考えられます。

さらに、看護師は夜勤や交代制などの特殊な勤務形態による家庭内のすれ違い、長時間労働によるストレス、経済的自立など、家庭生活に影響を及ぼしやすい職業環境にあるのは事実です。

これらの構造的要因が、「離婚率が高い」と感じられやすい理由といえるでしょう。
 

厚生労働省｜令和６年(2024)人口動態統計月報年計（概数）の概況
厚生労働省｜令和４年度「離婚に関する統計」の概況
厚生労働省｜衛生行政報告例

「看護師の離婚率が高い」と言われる理由5選

「看護師は離婚率が高い」と言われる背景には、家庭生活との両立が難しい勤務形態や、精神的・肉体的な負担の大きさがあります。

ここでは、看護師が直面しやすい離婚リスクの要因を、働き方やライフスタイルの観点から、一つずつ整理して紹介します。

1.すれ違いが起こりやすい

夜勤や交代勤務により、パートナーと生活リズムが合わないことが多く、すれ違いが生じやすいのが現実です。

帰宅時間が遅く、休日も合わないため、一緒に過ごす時間や会話が不足し、関係性が希薄になることがあります。

「仕事が忙しいから仕方ない」と思っていても、気づかぬうちに距離が広がってしまうことも少なくありません。

2.理解不足によるストレスがたまる

医療現場でのストレスや責任感は、外部からは理解しにくい部分です。

パートナーが「看護師だからできて当然」と思い込み、労いや共感が少ないと、孤独感や不満が募ります。

日々のストレスを共有できないことが、関係悪化の引き金になることが多いです。

3.家事の負担集中・ワンオペ化

出産・育児期は、家庭内の負担が一気に増える時期といえます。

看護師の仕事はシフト制が中心のため、保育園の送迎や夜間の対応など、パートナーとの協力が不可欠です。

しかし、パートナーが固定勤務で協力が難しい場合、「ワンオペ育児」状態になりやすく、心身の負担が離婚要因になるケースもあります。

4.経済的自立による「我慢しない」の気持ち

看護師は平均年収が高く、経済的に自立している職業です。

そのため、結婚生活に不満があっても「経済的に困らないから離婚しても生活できる」と判断しやすい傾向があります。

経済的な選択肢を持つことは悪いことではありませんが、「自立しているからこそ、無理をしない」という意思決定が、離婚率の高さを印象づける一因となっています。

5.同業同士・異業種夫婦それぞれの課題

看護師同士の夫婦は、互いの仕事の大変さを理解できる一方、シフトが合わず家庭がすれ違うことがあります。

逆に、異業種夫婦は、生活リズムや価値観の違いがストレスになる場合も。

どちらの組み合わせでも、「相手の立場を理解する姿勢」がなければ、すれ違いは避けられません。

離婚を防ぐ行動のヒント4つのこと

離婚を防ぐには、「働き方の見直し」と「夫婦間のコミュニケーション改善」が不可欠です。

無理を続けるより、環境を調整して余裕を生むことが、関係を長く続ける鍵になります。

1.スケジュール管理の工夫

勤務スケジュールを共有し、お互いの予定を把握することで、すれ違いを最小限にできます。

カレンダーアプリなどを活用して、家事・育児の分担を「見える化」するのも効果的です。

小さな連携の積み重ねが、信頼関係の維持につながります。

2.支援制度の利用

勤務先によっては、院内保育所や短時間勤務制度、育児支援など、ワークライフバランスを重視した制度を導入しているところもあります。

制度を積極的に活用し、家庭の負担を軽減することで、長期的に安定した生活を築くことができます。

3.働き方の見直し

「夜勤で生活が合わない」「心身が限界」という場合は、夜勤なし・日勤常勤への転職を検討するのもひとつの方法です。

看護師には多様な働き方があり、訪問看護やクリニック勤務など、家庭と両立しやすい職場も増えています。

4.メンタルサポートの活用

すれ違いや不満を抱えたままにせず、夫婦カウンセリングや心理相談を利用することで、客観的な視点から問題を整理できます。

第三者の介入により、お互いの本音を引き出しやすくなるケースもあります。

まとめ｜看護師が幸せに働くために

「看護師は離婚率が高い」という印象には、明確な統計的裏付けはありません。

しかし、夜勤・交代制などの働き方や、ストレスの多い職場環境が、家庭生活に影響を与えやすいのは事実です。

大切なのは、「構造的にリスクを抱えやすい」ことを理解し、働き方や生活リズムを見直すこと。

また、パートナーとの対話や協力を重ねることで、仕事と家庭を両立する道は開けます。

自分に合った働き方を選び、支え合える関係を築くことが、看護師としても一人の人としても、幸せに生きるための第一歩です。

看護師の離婚に関するよくある質問