30代看護師の転職事情は？経験値が低いと転職に不利？

他の職業と同様、看護師の世界でも30代となれば基本的には「中堅世代」のイメージですね。もし、学校卒業から20～30代にかけてずっと仕事をしてきたならほぼベテランの域ともいえます。しかし、この世代は結婚・育児などを経てブランクがあるナースも多いのが特徴。
この記事では、30代のナースが転職する場合の立場や条件、またネックとなる要素はあるのかなど、気になる点をまとめました。個々の経験値に差があることも多い30代のナースですが、実際の転職事情はどのようになっているのでしょうか。

30代看護師の働き方と求人市場での立ち位置

「看護師の転職に、年齢制限はあるの？」「30歳でも、前半と後半では転職率が違う？」など、転職を検討するにあたって多くの疑問をお持ちではありませんか？ここでは、30代看護師の転職におけるメリット・デメリットや、あれば有利になる経験・資格などについてご紹介します。

１．30代前半の看護師の働き方とは？

30～34歳のナースは、職場では一人前の戦力として必要とされている立場にある方が中心になるでしょう。20代から仕事を続けてきた方はもちろん、20代のうちに結婚や出産などのライフイベントを経験してきた方なら、復職して育児と仕事を同時進行でこなしているかもしれません。
そして、結婚や出産をこの時期に経験するナースも多いでしょう。交替勤務などフル回転で仕事をし続けてきた方も、働き方を見直す時期に差し掛かるかもしれません。逆に、さらに精力的に仕事に取り組んで、キャリアアップを見据えた働き方を考え始める方も増える年代といえます。

２．30代後半になったら、30代前半とはどう事情が変わる？

30代後半は、一般的には育児がもっとも忙しくなる年代です。そのため、ナースでもいったん離職して子育てに専念する方が少なくありません。もし他の職種で30代後半まで働き続ければ、かなりのベテランとして扱われるようになるでしょう。しかし、ナースは一般的に勤続年数が長く、まだ中堅世代とみなされることが多いです。
そのためナースにとって30代後半とは、このままキャリアアップをめざすか、育児などとの両立を考えて時短・パートに切り替えるかどうか悩ましくなる年代でもあります。
ちなみに、30代前半と後半での転職率の違いですが、キャリアアップ・給与アップのための転職が多いため、30代前半のほうが転職率が上がる傾向にあるようです。

３．30代看護師が転職する際のメリット・デメリット

30代のナースは、個々のライフスタイルや状況次第で転職に至る事情も異なるという特徴があります。ここでは、30代のナースの転職におけるメリット・デメリットをみていきましょう。

【メリット1.経験を評価してもらえる】
30代になると、ナースとしてもさまざまな経験を経ているはずです。転職活動でも、経験を重視してもらえる機会が増えるでしょう。特に病棟や救急外来などはリーダーになれる人材がつねにほしいという状況にある場合が多く、年齢が高めでも経験次第で歓迎されやすくなります。

【メリット2.育児と両立できる時短・パートを選びやすい】
看護師として働ける職場は、意外なところにもたくさんあります。昼間のみのパート勤務の求人もかなり多く、育児などで短時間だけ働きたいというナースをむしろ歓迎する現場もあります。具体的には、健診主体のクリニックやデイケア施設、訪問看護ステーションなどの求人が多くなります。

【デメリット1.個々の事情が異なるため、職場選びに制約が出る】
30代のナースは、個々の生き方や働き方で能力・経験に差が出てしまうことがネックとなりがちです。卒業後就職してずっと仕事を続けてきた方もいれば、出産・育児でブランクがある人もいます。また、30代になって異業種から看護師に転職する人も最近では増えています。それぞれの事情に合わせて転職先を検討しなければならない面は、人生経験を積んできた30代ならではのデメリットになり得ます。

【デメリット2.体力が必要な現場への転職はむずかしくなる】
看護師は、知識や技能に加えて体力を必要とする仕事でもあります。交替勤務などの不規則な働き方も、20代までなら若さに頼ればたいていの方が続けられたかもしれません。しかし、30代になると体力の個人差しだいでは変則的な働き方がむずかしくなってきます。そのため30代に入ってからの転職では、体力的な事情も考慮して職場探しをする必要も出てきます。

４．30代看護師が転職に備えて考えたいこと・身につけたいこと

30代になれば、20代のころと同じように無理をして変則勤務をこなすことはむずかしい場合もあります。どんなナースとして働く場合も、30代を迎えてまず習慣にしたいのは「ご自身の健康管理」かもしれません。
また、40代以降もナースとして第一線で活躍することを視野に入れるなら「認定看護師」や「専門看護師」など、看護のプロをめざせる資格取得を検討するのも有効です。その一方で、家事や育児への負担なくご自身のペースで働き続けたいなら、先端医療や終日看護にこだわらず、医療行為が少なめの職場で経験を生かすことを考えてもよいでしょう。

まとめ

30代になると、20代ナースのように「忙しく体力を要する職場」や「拘束時間の長くなる職場」での求人は減るかもしれません。しかし、30代になればナース個々の事情がさまざまになると同時に、さまざまな条件の求人が目に入ってくるでしょう。30代ナースさんが抱える事情に合った職場が、意外に多く見つかることがわかるはずです。
特にデイケアや訪問看護サービスなどは「決まった時間でよいので、できるだけ経験豊富なナースさんに働いてほしい」という要望のうえで求人する職場が多い傾向です。このような職場では、育児と両立できる時短・パート勤務希望の30代ナースも比較的歓迎されるでしょう。
看護師業界はつねに人手を求めていますから、売り手市場であることに間違いはありません。30代だから不利と決めつけず、多くの求人をチェックして適した職場を見つけましょう。