病院での勤務はやりがいがありますが、夜勤や不規則な勤務時間による身体的・精神的な負担が大きく、ワークライフバランスの改善を求める看護師は増えています。
そんななか、保育園看護師への転職は、子どもたちの健康管理に直接関わり、やりがいを持ちながら、より安定した勤務環境を手に入れることができるので、転職先として関心がある人も少なくないのでは。
この記事では、保育園看護師の仕事内容と必要な資格、保育園で働く魅力について詳しく解説します。
保育園看護師とは?
保育園看護師は、子どもの健康管理と保育活動の両方を担当する専門職です。
一般的な病院勤務の看護師は、医師の指示のもと患者の診療や治療、緊急対応など医療行為を中心とした業務をします。
それに対し、保育園看護師は保育園特有の環境で日常的に子どもたちの健康状態を監視し、予防医療に重点を置いた必要なケアを提供します。
ここでは、保育園看護師の役割や責任、求められるスキルについて詳しく解説し、具体的な業務内容や日々の仕事の流れを紹介します。
保育園看護師の具体的な仕事内容
保育園看護師の仕事内容は多岐にわたり、子どもの健康管理や看護業務、保育業務、および保護者対応など、さまざまな役割を担います。
これらの業務を通じて、子どもの健やかな成長をサポートし、安心して過ごせる環境を提供することが求められます。
では、それぞれの業務内容について詳しく見てみましょう。
健康管理
保育園看護師の健康管理業務は、子どもたちの健やかな成長と安全を支えるために欠かせません。具体的な健康管理の業務内容は次のとおりです。
- 子どもの健康状態の定期的なモニタリングと記録
- 定期健康チェックの実施
- 予防接種のスケジュール管理と情報提供
- 疾病予防プログラムの企画・運営
- 健康教育プログラムの作成と実施
急病時にはすばやく適切な対応が必要なため、子どもの安全を確保するための専門的な知識とスキルが必要です。
また、保育園全体での健康意識を高めるために、子どもや保護者に向けた健康情報の提供や、定期的な健康教育も大切な仕事の一つです。
看護業務
保育園看護師の看護業務は、子どもたちの健康と安全を守るうえで欠かせない重要な役割を担っています。
主な業務内容は以下のとおりです。
- 急病時の迅速な対応と応急処置
- 薬の管理と投与
- 健康記録の管理
急な体調不良やけがが発生した際には、すばやく的確に対応し、必要に応じて応急処置を行ないます。
また、必要があれば与薬を行なうこともあります。処方された薬を正確に管理し、適切なタイミングで投与することが重要です。
健康記録の管理では、子どもの健康状態などを詳細に記録し、保育士や他のスタッフと情報を共有することで、継続的なケアを支えます。
これらの業務を円滑に行なうためには、チーム内での連携が不可欠です。定期的なミーティングや日々の情報共有を通じて、職員全体で子どもたちの健康を見守る体制を整えます。
さらに、看護師としての専門知識を活かし、予防策の提案や健康教育の実施など、専門性の高い業務にも積極的に取り組むことが求められます。
保育業務
保育業務は、子どもの日常的なケアが中心になります。具体的な保育業務は次のとおりです。
- 日常的なケア:子どもの体調管理や衛生状態の維持
- 遊びや学習活動のサポート:年齢に応じた遊びや教育プログラムを企画・実施
- 食事の管理:バランスがとれた食事の提供と環境の整備
- 清掃や環境整備:保育園全体の清潔さを保ち、子どもたちが快適に過ごせる環境の整備
これらの業務を通じて、子どもたちが安全で健やかな環境で成長できるよう支援します。
保護者対応
保護者対応は、保育園看護師にとって欠かせない重要な業務の一つです。具体的な保護者対応業務は次のとおりです。
- 子どもの健康状態や日常の様子を適切に保護者に報告する(信頼関係の構築)。
- 緊急時の迅速かつ的確な連絡体制をとる。
- 定期的な面談を実施する。
- 保護者からの相談に対応する。
保護者と信頼関係を築くためには、効果的なコミュニケーションが大切です。しっかりとした連携を通じて、子どもの健康と安全を一緒に守る体制を整えることができます。
情報伝達のコツとしては、わかりやすく具体的な言葉を用いることや、保護者のニーズに柔軟に対応することです。透明性が高い情報共有を心がけることで、保護者からの信頼を獲得し、円滑なコミュニケーションが実現します。
子どもたちとの関わり方
保育園看護師として子どもたちと関わる際には、子どもの発達段階に応じた適切な接し方が求められます。
それぞれの子どもが持つ発達特性を理解し、年齢や成長段階に合わせたコミュニケーションを心がけることが大切です。
また、子どもの感情のサポートも重要な役割の一つです。子どもたちが安心して感情を表現できる環境を整え、彼らの気持ちに寄り添うことで、情緒の安定を助けることができます。
遊びを通じた健康促進活動も保育園看護師の日常業務の一環です。子どもたちの身体能力を高めたり、社会性を育むための遊びを企画・実施することで、心身の健やかな成長をサポートします。
さらに、教育活動も重要です。子どもたちの知的好奇心を刺激し、学習意欲を高めるための教育プログラムに積極的に関わり、子どもたちの成長を支えます。
保育園での勤務環境
保育園での勤務環境は、病院とは異なる特徴があります。
- 特徴①保育園看護師は小規模なチームで働くことが多く、保育士やほかのスタッフと密接に連携とりながら日々の業務をします。
- 特徴②職場の物理的な環境は、明るく開放的なスペースが多く、子どもたちと接する機会が多いです。
- 特徴③保育園の勤務時間やシフトは、通常、日勤中心となり、夜勤や不規則な勤務が少ないため、ワークライフバランスを維持しやすい傾向にあります。
- 特徴④職場での人間関係は、病院に比べてよりフレンドリーでサポート体制が整っていることが多く、スタッフ同士のコミュニケーションが円滑にしやすい環境です。
子どもたちの健康を守るために、チーム全体で協力し合う文化が根付いています。
また、子どもたちとのふれあいを通じて感じる達成感ややりがいも、この仕事の大きな魅力です。
保育園看護師になるために必要な資格と経験
保育園看護師として新たなキャリアを築くためには、看護師資格だけでなく、保育士資格や特定の実務経験が求められることが多いです。
保育士資格の有無
保育園看護師として働く際に保育士資格が必要かどうかは、勤務する保育園や施設の規模、方針によって異なります。
多くの保育園では、看護師資格のみで働ける場合が多いですが、保育士資格を取得することで、より専門的な保育知識や技能を身につけることができます。
また、保育士資格を持つことで、子どもの発達段階に応じた適切なケアや教育支援を提供できるスキルが向上し、保護者や職場からの信頼も高まり、昇進の機会が増えるメリットがあります。
保育士資格取得の方法
専門学校や短期大学での教育課程を修了するほか、通信講座や夜間学校を利用して働きながら取得する方法もあります。
保育園勤務に求められる経験
保育園勤務に求められる経験では、保育現場での実務経験があることが大いに評価されます。
子どもの発達段階に応じたケアや緊急時の対応など、保育環境特有の知識やスキルも求められるからです。
また、看護師として病院勤務で培った医療知識や応急処置のスキルは、保育園勤務において、子どもの健康管理や予防措置に役立ちます。
たとえば、急な体調不良やアレルギー反応が発生した際の迅速な対応や、日常的な健康チェックを通じて疾病の早期発見・予防に。また、保護者への健康指導や、保育園内での衛生管理の向上にもその知識を活かすことができます。
転職前に身につけておくべきスキル
保育園看護師への転職を成功させるためには、特定のスキルを事前に身につけておくことが重要です。
転職前に身につけておくべきスキルは次のとおりです。
- コミュニケーション能力
保育園看護師にとって、コミュニケーション能力は欠かせないスキルです。
子どもたち、保護者、そして同僚との円滑なやりとりは、健康管理や緊急時の対応において非常に重要な役割を果たします。
効果的なコミュニケーションを身につけるためには、次の2点を意識しながら、日々練習を重ねることが大切です。
・積極的に相手の話を聞く。
・明確かつ簡潔に情報を伝える。そのほか、スキル向上には、書籍やセミナーの活用、日常的な対話の積み重ねが効果的です。
- 子どもへの対応力
子どもへの対応力も重要なスキルです。
年齢や発達に応じた対応が求められ、信頼関係を築くには、やさしさと忍耐力が必要です。
実践的な研修や現場経験を通じて、この力を養うことができます。 - ストレス管理
保育園では予期せぬ出来事が多く、ストレス管理は欠かせません。
自己理解を深め、リラクゼーションやタイムマネジメントを取り入れることで、心身のバランスを保ちやすくなります。
休息や趣味の時間も、ストレス軽減に効果的です。 - チームワーク
保育園では多職種との連携が必要なため、チームワークも重要です。
協調性を持ち、役割分担や情報共有を円滑に行なうには、信頼関係と相互理解が欠かせません。
定期的なミーティングやチームビルディングも効果的です。
保育園看護師としてのキャリアチェンジをスムーズに進めるためにも、自己研鑽を積みスキルを身につけておくように心がけましょう。
保育園看護師のメリットとやりがい
保育園看護師として働くことには、多くのメリットややりがいがあります。
- ワークライフバランスの向上
保育園での勤務は、病院勤務に比べて勤務時間が安定しており、夜勤や長時間労働が少ないのが特徴です。
業務は決まった時間帯に集中しているため、スケジュールが予測しやすく、生活リズムを整えやすい環境です。
そのため、仕事とプライベートのバランスをとりやすい働き方が実現できます。 - 子どもたちと直接関わり支援が可能
保育園看護師は、子どもたちと直接関わりながら成長を支えることができます。
健康管理やケアを通じて笑顔や成長を実感できることは、大きなやりがいです。
こうした経験は、看護師としてだけでなく、人としての成長にもつながります。 - 明るい職場環境
保育園は、明るく開放的で親しみやすい雰囲気の職場が多いのが特徴です。
また、病院に比べて小規模なことが多く、スタッフ同士のコミュニケーションが活発で、連携しながら協力しやすい環境です。
保育園看護師の声
医療現場から保育園に入り、看護師は私一人、今までにない緊張感を味わった毎日でした。小児科の経験もありませんでしたが、やさしい園長先生や保育士さんにいろいろ教えていただきました。園児は急に高熱を出したり、けがをしたりと大変ですが、でも、子どもたちの笑顔に囲まれ「先生、あそぼ」とせがまれることも。大変なことだけではありません。
季節ごとの行事にも参加することができ、卒園児を見送る時は、わが子を送り出す親のように号泣してしまいます。私も子育て中なので、保護者と同じ目線でお仕事させていただいています。
保育園看護師の課題
保育園で働く際は、課題もあることを忘れてはいけません。
保育園勤務では看護技術を維持・向上させる機会が少ないため、今後のキャリアを考えて慎重になる必要があります。
また、子ども特有の健康問題への対応が求められる難しさもあります。
やりがいやメリットだけではなく、これらの課題があることも理解し、自分のキャリアプランに合った職場選びを考えてみてください。
たとえば、安定した勤務時間と子どもとの直接的な関わりを重視する場合は保育園勤務が適しています。
一方、高度な医療スキルを活かし、緊急対応にやりがいを感じる場合は病院勤務が向いているかもしれません。
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スーパーナース編集部
看護師の働き方を支援して30年の株式会社スーパーナース。
派遣や転職をはじめとした就業経験豊富な看護師と編集スタッフが「看護師のはたらく」に関する情報を日々お届けします。
