解説&対策
日常に関する業務では、爪切り時の皮膚損傷が発生しています。
高齢者の爪は肥厚している傾向にあり、爪を切るときに力が必要になる場面が多くあります。
また、肥厚した爪を切る時にニッパーを使用することもありますが、使い慣れていない場合は皮膚損傷を起こす可能性もあるため注意が必要です。
爪を切ることが難しいと思った場合はやすりを使用し、爪を整えるようにしましょう。
解説&対策
針を取り扱う業務では針刺し事故が発生しています。
針刺し事故により起こりうることで最も恐ろしいことは「血液を媒介した感染」です。
感染する恐れのある疾患は HIV、B 型肝炎、C 型肝炎などです。
また、介護施設などで自宅からインスリン注射の針が付いた状態で持参される場合があります。
普段から針の取扱いをしていても就業場所によっては不慣れな針を使用する場合も多く、針刺し事故を起こす リスクは非常に高まりますので注意が必要です。
解説&対策
薬剤に関する業務では患者誤認、容量や用法の間違いなどが発生しています。
特に看護師は与薬の実施者となることが多く、他職種と比べると当事者になる確率が高いです。
薬剤投与は6つのR(正しい薬、正しい患者、正しい容量、正しい用法、正しい投与時間、正しい目的)が守られなければなりません。
介護施設の利用者はほとんどがネームバンドをしていないため、与薬時には対象者に名前を必ず名乗ってもらうなどの対策が必要です。
薬剤管理の方法は就業先によって異なるため、責任者や先輩スタッフに与薬方法を確認して、間違いが発生しないよう基本に忠実に与薬を行うことが大切です。
解説&対策
転倒に関する事故も発生しています。
転倒にはさまざまな要因があり、高齢者は特に夜間や手術後など環境の変化によって起こしやすくなっています。
転倒はQOLやADLの低下を招くため、高齢者の身体面や認知面の特徴を理解することが必要です。
また、勤務時は受け持ちやナースコール対応など多重課題に追われる場面が多くあります。
個別性に応じたアセスメントや支援を行い、患者の安全性を考慮した対応を心がけましょう。
医療監修/医学博士 梅田悦生
マンガ/ほりたみわ
(敬称略)